「市販薬に吐き気止めはある?」「症状に合った吐き気止めの種類が知りたい」
急な吐き気に襲われたとき、吐き気止めが手元にあると安心できますよね。吐き気はさまざまな原因によって引き起こされるものです。症状を抑えるには、原因に合った対処を行う必要があります。
しかし、市販薬は種類が多いのでどれを選んだらよいのか迷ってしまう方も多いでしょう。そこで今回は、市販の吐き気止めの選び方を症状別に紹介します。
病院で処方されるナウゼリンやプリンペラン、ドンペリドンなどの吐き気止めは市販では扱いがありません。市販で手に入るものは一般的な吐き気止めではなく、胃腸薬や頭痛薬、酔い止めなど、吐き気の原因を抑える薬です。
病院と同じ吐き気止めは残念ながら購入できないため、原因に応じて適切な市販薬を選んでいく必要があります。
吐き気の原因によって、市販薬で対応できるかが変わります。まずは、自分の吐き気に市販薬が使えるのかを把握しておきましょう。
吐き気の原因 | 市販薬で対応できるか |
---|---|
ストレス | ◯ |
ピルの副作用 | ✕ |
二日酔い | ◯ |
生理痛 | ◯ |
めまい | ◯ |
風邪 | ◯ |
食べ過ぎ、飲み過ぎ | ◯ |
胸やけ | ◯ |
食欲不振 | ◯ |
乗り物酔い | ◯ |
頭痛 | △ |
食あたり | △ |
では、症状別に吐き気に効く市販薬を見ていきましょう。
食べ過ぎで吐き気がする場合は、消化酵素が入っている市販薬がおすすめです。消化をスムーズにすることで、胃の負担を減らして楽にします。
太田胃散は、7種類の健胃生薬と胃酸を抑える成分、消化酵素のビオヂアスターゼが配合された胃薬です。ビオヂアスターゼはおもにでんぷんやたんぱく質の消化を助けます。弱った胃の働きを良くする効果もあるため、普段から胃の調子が優れない方でも使いやすいでしょう。
ベリチーム酵素は、消化酵素のみが配合された胃薬です。でんぷんやたんぱく質を分解するビオヂアスターゼ、繊維素を分解するセルラーゼ、脂肪を分解するリパーゼ、でんぷんやたんぱく質、脂肪を分解するパンクレアチンが配合されています。
ストレスが溜まると、自律神経が乱れることで胃腸の働きが悪くなったり胃酸の量が増えたりすることで、吐き気を催すことがあります。この場合は、胃腸の調子を整えて正常な状態に近づける漢方薬が有効です。
ストレスを抱えており、のどが詰まった感じがする方に向いている漢方薬です。漢方では気の巡りが滞るとのどのつかえ感や異物感が出るとされています。半夏厚朴湯は気の巡りを良くすることで、のどが詰まった感じや胃腸の症状を抑えるものです。
太田漢方胃腸薬Ⅱは、安中散加茯苓という漢方処方によってストレスによる吐き気を抑えます。生薬の香りによって胃の働きを高めたり、胃酸を中和したりすることが特徴です。乱れた自律神経を落ち着かせて胃の調子を整える働きもあります。
乗り物酔いで吐き気がする場合は、酔った後でも使える酔い止めを使うことで症状を改善できるでしょう。
1日1回服用するだけで効果が持続するタイプの酔い止めです。酔った後でも早めに服用することで効果を発揮します。胃粘膜に局所的に麻酔をかけるアミノ安息香酸チエルが配合されているため、吐き気が出ている場合にも効果的です。15歳以上から服用できます。
センパアQTは、d‐クロルフェニラミンマレイン酸塩とスコポラミン臭化水素塩水和物の働きによって乗り物酔いによる吐き気やめまい、頭痛の症状を抑える薬です。酔ってから服用しても効果があります。15歳以上から服用可能です。
吐き気の原因がめまいの場合は、めまいそのものを抑える市販薬を使いましょう。めまいが治まれば自然と吐き気も落ちつていきます。
自分の周りがぐるぐる回っているような感覚になる方、目が回ってまっすぐ歩けなくなる方向けの漢方薬です。漢方では、めまいは水が体の上で溜まって気の巡りを妨げることで起こると考えられています。苓桂朮甘湯は尿量を増やすことで水を取り除き、めまいを改善するものです。
ストレスから来るめまいや耳鳴りを改善する薬です。チョウトウ末やニンジン末などの生薬成分のほか、カフェインやブロモバレリル尿素なども配合されています。カフェインの影響で眠りにくくなることがあるため、就寝前の服用は避けたほうがよいでしょう。
二日酔いで吐き気がする場合は、体内の水分量を調節したり肝臓の働きを助けたりする薬を選んでみてください。
アルピタンは、五苓散という漢方薬を使った薬です。五苓散が体内に溜まった過剰な水分の排出を促すことで、二日酔いの症状を改善します。脳のむくみを抑える働きもあるため、二日酔いによる頭痛にも効果的です。
肝臓の働きをサポートする肝臓水解物やイノシトール、消耗した体力を補うビタミンE酢酸エステルやビタミンB2が配合されています。アルコールの影響で胃腸障害が出ているときはもちろん、疲れが溜まっているときや栄養補給をしたいときにもぴったりです。
頭痛による吐き気があるときは、まず頭痛そのものを薬で和らげてあげましょう。頭痛が起こる前に目がチカチカする場合は片頭痛の可能性があります。医療機関を受診すると片頭痛専用の薬を処方してもらえますので、市販薬に頼り過ぎず早めに受診するのがおすすめです。
医療用のロキソニンと同じ成分が同じ量だけ配合されています。即効性に優れており、鎮痛効果も高く使いやすい薬です。眠くなる成分は含まれていません。
1カプセルあたりイブプロフェンが150mg配合されています。液体カプセルになっているため、服用すると速やかに溶けて素早く効果を発揮することが特徴です。眠くなる成分が含まれていないため、学校や仕事があるときでも使いやすいでしょう。
食あたりによる吐き気を完全に抑えるのは難しいのですが、服薬することで楽にすることができます。
正露丸は、吐き下しにも効果がある薬です。腸内の水分バランスを整えることで食あたりや吐き下しなどの症状を改善します。腸の動きを止めることなく下痢を抑えてくれるため、菌やウイルスによる下痢にも使えます。
吐き気があるときは、次の点に注意して過ごしましょう。
「食べないと病気は良くならないから」といって、吐き気があるのに無理して食事をするのはおすすめできません。かえって胃腸に負担を与え、吐き気がひどくなる場合があります。脱水にならないようにこまめに水分を摂り、無理して食べないようにしましょう。
強い腹痛を伴った吐き気がある場合は、腸閉塞やイレウスが起きている可能性があります。腸閉塞やイレウスの場合、時間が経つと腸が腐ったり手術が必要になったりする場合もあるため、早めに受診してください。
便秘が続くことで吐き気が出ることもあります。この場合は、浣腸を使ってすぐに便を出してあげると症状が和らぐことが多いでしょう。強い腹痛を伴うこともありますので、日頃から便通の管理を行うことが大切です。
吐き気が出る原因は本当にさまざまです。ときにはすぐに治療が必要なケースもあります。いつもと何か様子が違うと感じたら、早めに受診しましょう。また、市販薬には病院と同じような吐き気止めがないため、人によっては効果不足だと感じることもあるかと思います。
市販で対応できる吐き気は限られているため、症状が続くときは医療機関を受診して原因を調べてもらうようにしましょう。
医療機関で処方してもらえるナウゼリンやドンペリドンのような吐き気止めは、市販では取り扱いがありません。そのため、市販薬で吐き気の症状を治したい場合は、症状に合わせて胃薬や鎮痛薬を選んでいくことが基本です。
吐き気が続くときは何か病気が隠れている可能性もあるため、できるだけ医療機関を受診するようにしましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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