1つの市販薬なら問題なくても、複数の市販薬を同時に服用すると飲み合わせが悪い場合があります。とはいえ、「どれとどれを飲むとダメなの?」と疑問に思っている方が多いのではないでしょうか。
今回は、同時服用に注意が必要な市販薬の組み合わせについて紹介します。併用に気をつけたいサプリメントや処方薬、食品などについても解説しているので参考にご覧ください。
風邪を引いているから風邪薬、頭痛があるから頭痛薬のように、複数の薬を同時服用した経験はありませんか?配合されている成分によっては、同時服用によって何かしらの影響が起きてしまう恐れがあります。
市販薬は、ジャンルが違う薬でも同じ働きをする成分が含まれていることが多くあります。知らず知らずのうちに同じ成分を多量にとってしまうケースがあるので注意しましょう。薬には適切な服用量が定められています。適切な服用量を超えないように服用することが大切です。
よく似た成分を同時服用することで、副作用が出やすくなります。成分の種類によっては、眠気が強く出たり胃腸や肝臓に負担をかけたりすることがあるため注意が必要です。副作用による体調不良を市販薬で治そうと薬を追加し、さらに副作用が出てしまうという悪循環に陥ることもあります。
薬の組み合わせによっては、効果が減弱して病気の治りが遅くなる場合もあります。服用しても効かないからといって服用量を自己判断で増やしてしまうと、副作用が出る原因にもなるので気をつけましょう。
同時服用に気をつけたい市販薬は意外と多くあります。うっかり飲んでしまう組み合わせのものも多いため、注意したい市販薬についてここで確認しておきましょう。
風邪薬と解熱鎮痛剤を同時服用すると、解熱鎮痛剤の成分を重複してとってしまう恐れがあります。ここでは、一例として風邪薬の「ルルアタックEXプレミアム」と、解熱鎮痛剤の「イブA錠」の成分を比べてみましょう。
太字の成分に注目してみてください。成分が2つ重複していることが分かります。イブプロフェンは、痛みをやわらげたり熱を下げたりする成分です。市販薬では1日最大600mgまでしか服用できません。
同時服用すると最大量を超えて摂取してしまうことになり、食欲不振や吐き気などの副作用が出やすくなってしまいます。また、無水カフェインも重複してしまうので要注意です。こちらも同時服用すると吐き気などの副作用が出る原因となります。
睡眠改善薬と解熱鎮痛剤を同時服用すると、種類によっては眠気の副作用が強く出る恐れがあります。
解熱鎮痛剤のなかには、鎮痛成分の効き目を高めるためにアリルイソプロピルアセチル尿素などの鎮静成分が配合されているものがあり、これが睡眠改善薬の効果と重複して眠気が強く出てしまうことがあるのです。
意外な組み合わせかもしれませんが、便秘薬と胃薬も同時服用は注意しなければなりません。便秘薬の種類によっては、胃で溶けずに腸で溶けるように作られているものがあります。
このような便秘薬と同時に胃薬を服用すると、胃酸が薄まって便秘薬が腸に届く前に胃で溶けて効果が減弱してしまう可能性があります。
多くの漢方薬に含まれている成分として知られているのが甘草です。甘草にはグリチルリチンが含まれており、過剰摂取すると偽アルドステロン症を起こす恐れがあります。
偽アルドステロン症とは、アルドステロンというホルモンの上昇が見られないにもかかわらず、アルドステロンが上昇したときと同じように高血圧やむくみなどの症状が見られるものです。症状が進むと、意識がなくなったり歩けなくなったりします。
市販薬と同時服用に注意が必要なのは、市販されている医薬品に限られる話ではありません。サプリメントや処方薬でも同時服用によって体に悪影響が出ることがあります。
セントジョーンズワートは、医薬品との併用に注意が必要なハーブとして非常に有名です。薬の代謝酵素であるCYP3A4やCYP1A2などの働きを誘導し、薬の代謝を促してしまいます。
代謝が促進されると薬の効果が十分に発揮されず治療効果に影響を及ぼす可能性があることから、医薬品との同時服用は避けるべきです。
抗生物質のうち、ニューキノロン系は胃薬との同時服用すると効果が減弱する恐れがあります。ニューキノロン系の抗生物質は、制酸剤などの金属イオンと結合すると、キレートを形成するため吸収が阻害されてしまうのです。
ニューキノロン系と金属イオン(アルミニウムやマグネシウムなど)を含む制酸剤と併用するときは、服用間隔を2~4時間空けるようにしてください。
ワルファリンなどの抗血栓薬と解熱鎮痛成分を併用すると、血液をサラサラにする働きが強まり出血しやすくなります。解熱鎮痛成分は風邪薬や鎮痛剤などに含まれているので、抗血栓薬を服用している方はこれらの市販薬を購入するときに薬剤師や登録販売者に相談するようにしてください。
サプリメントや処方薬のほか、食品にも組み合わせに注意すべきものがいくつかあります。
お茶に含まれているタンニンは、鉄と結合して吸収を阻害することが分かっています。鉄剤を服用するときは、お茶ではなく水で服用しましょう。
コーヒーや紅茶などには、カフェインが多く含まれています。カフェインは風邪薬や解熱鎮痛剤にも含まれていることがあり、同時服用するとカフェインの過剰摂取につながるので注意しましょう。カフェインを摂りすぎると頭痛や吐き気などの副作用が出ることがあります。
アルコールは、抗ヒスタミン薬の効果を増強させる働きがあります。抗ヒスタミン薬は鼻水やかゆみなどを抑える目的で配合されている成分です。副作用である眠気が強く出やすくなるので気をつけましょう。
牛乳に含まれるカルシウムの影響により、抗生物質や骨粗しょう症の治療薬の吸収が低下して効果が減弱する恐れがあります。また、酸化マグネシウムや炭酸マグネシウムと同時服用すると高カルシウム血症を起こすことがあるので注意してください。
グレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリン類は、薬を代謝する酵素の働きを阻害するため、薬の効果を高めてしまうことがあります。影響を受けやすい薬としては、免疫抑制剤のシクロスポリン、脂質異常症の治療薬であるシンバスタチン、降圧剤のフェロジピンなどが代表的です。
すべての市販薬が同時服用できないわけではありません。とはいえ、どの組み合わせなら問題ないのかを自己判断するのは難しいでしょう。
お薬手帳は、処方薬の記録に使うことが多いでしょう。しかし、市販薬やサプリメントなどを記入して管理するのにも便利なアイテムです。飲んでいる市販薬やサプリメントを記入しておくと、処方薬を調剤してもらうときに薬剤師が飲み合わせをチェックしてくれます。
同時服用しても良いか迷ったときは、薬剤師や登録販売者に相談してみてください。薬剤師なら市販薬だけでなく処方薬の飲み合わせもチェックしてくれるので安心です。
自己判断で市販薬を同時服用するのは避けましょう。副作用が出やすくなったり、薬の効果に影響が出たりすることがあります。薬以外にサプリメントや食品との併用に気をつけるべきものもあるので注意してください。同時に服用しても良いか迷ったときは、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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