副鼻腔炎や風邪症状の治療などに用いられるカルボシステイン(ムコダイン)。医療機関で処方されることも多く、ご存知の方が多いのではないでしょうか。
これまで、カルボシステインのみが配合された市販薬は販売されていませんでした。
しかし、2024年3月1日、ついにカルボシステインの単剤が市販でも販売されたということで大きく注目を集めています。
今回は、カルボシステインと同じ成分の市販薬にどのような種類の商品があるのかについて詳しく見ていきましょう。カルボシステインの効能効果や処方薬と市販薬の違いなどについても紹介しているので参考にご覧ください。
カルボシステインは1981年にムコダインという商品名で販売されました。発売から30年以上経過していますが、今でも医療機関では去痰薬として高いシェアを誇っています。日経メディカルが行った調査では、もっとも処方頻度が高い去痰薬としてカルボシステインを挙げた医師が70.5%を占めるという結果になりました。
カルボシステインは、粘液の調整をしたり、粘膜の繊毛細胞の働きを正常化したりすることで痰や鼻汁の排泄を促進する成分です。
繊毛には、ウイルスや細菌から体を守る働きがあります。繊毛が小刻みに動くことで、ウイルスや細菌を咳や痰と一緒に外に出したり胃に流し込んで分解を促進したりするのです。
このほか、気道の炎症を抑制したり杯細胞の過形成を抑制したりする働きも確認されています。
医療用のカルボシステインは、成人の場合1回500mgを1日3回、経口で服用します。症状や年齢によって適宜増減することも可能なため、医療機関から処方された場合は医師の指示に従って服用しましょう。
医療用のカルボシステインには、以下のような効能効果が認められています。
痰の粘度を下げて出しやすくするため去痰作用があります。また、副鼻腔炎の排膿を促進するのにも有効です。
カルボシステインが配合された市販薬には、大きく分けて「去痰薬」と「咳止め薬」とがあります。まずは去痰薬について詳しく見ていきましょう。
ムコダイン去痰錠Pro500は、有効成分のカルボシステインのみが配合された市販薬です。医療用のムコダインと同量の成分が配合された市販薬は、2024年3月23日時点でムコダイン去痰錠Pro500しかありません。
服用する際は、間の時間を4時間以上空けるようにしてください。服用するタイミングについては、とくに食前や食後など時間は決められていません。15歳未満の方は服用できないので注意しましょう。
有効成分(1日最大量) | L-カルボシステイン…1500mg |
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効能効果 | 痰 |
用法用量 | 15歳以上:1回1錠を1日3回服用する |
ストナ去たんカプセルは、カルボシステインのほかにブロムヘキシン塩酸塩も配合された市販薬です。ブロムヘキシンには気道分泌を高めて喉に絡んだ痰を薄め、出しやすくする効果があります。
痰だけでなく、痰が絡む咳にも有効です。医療用のカルボシステインと比べると用量が少なくなっていますが、8歳の子どもから服用できます。
有効成分(1日最大量) | L-カルボシステイン…750mg ブロムヘキシン塩酸塩…12mg |
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効能効果 | 痰、痰の絡む咳 |
用法用量 | 15歳以上:1回2カプセルを1日3回服用する 8~14歳:1回1カプセルを1日3回服用する |
クールワン去たんソフトカプセルRNは、先ほど紹介したストナ去たんカプセルとまったく同じ成分が同じ量だけ配合された市販薬です。カルボシステインとブロムヘキシン塩酸塩の働きにより、痰を出しやすくします。8歳未満の子どもは服用しないようにしてください。
なお、クールワン去たんソフトカプセルRNとストナ去たんカプセルに大きな違いはありません。どちらを服用しても効果は同じですので、値段やメーカーなどで選ぶとよいでしょう。
有効成分(1日最大量) | L-カルボシステイン…750mg ブロムヘキシン塩酸塩…12mg |
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効能効果 | 痰、痰の絡む咳 |
用法用量 | 15歳以上:1回2カプセルを1日3回服用する 8~14歳:1回1カプセルを1日3回服用する |
カルボシステインは去痰薬以外に、咳止め薬にも配合されています。
新エスエスブロン錠エースは、カルボシステインが配合された咳止めの市販薬です。気管支を広げて呼吸を楽にするdl-メチルエフェドリン塩酸塩、咳中枢に働きかけて咳を抑えるジヒドロコデインリン酸円、アレルギー性の症状を鎮めるクロルフェニラミンマレイン酸塩も配合されています。
有効成分(1日最大量) | L-カルボシステイン…750mg ジヒドロコデインリン酸塩…30mg dl-メチルエフェドリン塩酸塩…75mg クロルフェニラミンマレイン酸塩…12mg |
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効能効果 | 咳、痰 |
用法用量 | 15歳以上:1回4錠を1日3回食後に服用する 12~14歳:1回2錠を1日3回食後に服用する |
喉の痛みにも効く成分が配合された咳止めです。痰を出しやすくするカルボシステインのほか、咳を抑えるジヒドロコデインリン酸塩、喉の炎症を抑えるトラネキサム酸などが配合されています。12歳以上の子どもから服用可能です。
有効成分(1日最大量) | ジヒドロコデインリン酸塩…30mg dl-メチルエフェドリン塩酸…75mg トラネキサム酸…420mg L-カルボシステイン…750mg クロルフェニラミンマレイン酸塩…12mg |
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効能効果 | 咳、痰、喉の痛みを伴う咳・痰 |
用法用量 | 15歳以上:1回2錠を1日3回食後に服用する 12~14歳:1回1錠を1日3回食後に服用する |
痰を出しやすくするカルボシステインに加えて、去痰作用もあわせもつ咳止め成分のチペピジンヒベンズ酸塩が配合された市販薬です。8歳からと比較的小さな子どもから服用できます。小児に服用させる場合は、大人の指導監督のもと服用させましょう。
有効成分(1日最大量) | チペピジンヒベンズ酸塩…75mg L-カルボシステイン…750mg |
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効能効果 | 咳、痰 |
用法用量 | 15歳以上:1回1包を1日3回服用する 11~14歳:1回2/3包を1日3回服用する 8~10歳:1回1/2包を1日3回服用する |
次のような症状があるときは、内科や呼吸器内科、耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。
最後に、カルボシステインについてよく聞かれる質問にお答えします。
処方薬と市販薬では、1錠あたりに含まれているカルボシステインの量に違いがある場合があります。また、処方薬は副鼻腔炎の症状にも使えますが、市販薬は痰の症状のみにしか使用できません。
子どもから服用できるものと、15歳以上からでないと服用できないものがあります。購入する際は、必ず服用できる年齢を確認するようにしてください。
カルボシステインに限らず、薬には副作用があります。カルボシステインの副作用としては、発疹は発赤、口の渇きなどが報告されています。
カルボシステインを含む市販薬はいくつか存在します。医療用と同量のカルボシステインが配合された市販薬もあるので、うまく利用してみてください。
医療用のカルボシステインは痰と副鼻腔炎の両方に効果がありますが、市販薬は痰のみにしか効果がありません。
副鼻腔炎の治療をしたい方は、副鼻腔炎用の市販薬を購入するか医療機関を受診するようにしましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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