便秘薬にはさまざまな種類があります。なかでもお腹が痛くなりにくく市販でも手に入りやすいのが、酸化マグネシウムを使った便秘薬です。
酸化マグネシウムは浸透圧性下剤と呼ばれており、腸を直接刺激することがないのでくせになりにくいといわれています。
今回は、酸化マグネシウムが主成分である便秘薬の効果や、市販薬の種類、服用するときの注意点などについて詳しく見ていきましょう。
酸化マグネシウムは、便をやわらかくして排便しやすくするために使われる成分です。腸を刺激して蠕動運動を亢進させる刺激性下剤とは違い、腸に水分を集めて排便を促す浸透圧性下剤のため、痛みが出にくくなっています。
市販の酸化マグネシウムは、主に次のような効果があります。
お腹が痛くなりにくい便秘薬ではありますが、初めて服用するときは少ない量から始めて便の様子を見ながら調節していきましょう。効果が出るまでの時間には個人差があります。
1~2時間程度で効果が出る方もいれば、8時間ほどかかる方もいるのでこちらも様子を見ながら使用するようにしてください。
酸化マグネシウムは、便が硬くて出づらいときや痔になったときなどに使われる便秘薬です。腸を刺激しないため、お腹が痛くなりにくい便秘薬を探している方にもよく用いられます。比較的小さな子どもから服用できることから、子どもの便秘対策にも有効です。
市販薬には、酸化マグネシウムが配合された便秘薬がいくつか販売されています。服用できる年齢や剤形、ほかに配合されている成分などに違いがあるので、自分に合うものを見つけてみてください。
5歳以上から服用できる便秘薬です。年齢に合わせて1回に服用する量を調節して使用してください。効果には個人差があるため、初回は最小量から服用し、症状に合わせて量を調節しましょう。
成分(6錠あたり) | 酸化マグネシウム:2,000mg |
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用法用量 | 15歳以上:1回3~6錠を1日1回 11歳以上~15歳未満:1回2~4錠を1日1回 7歳以上~11歳未満:1回2~3錠を1日1回 5歳以上~7歳未満:1回1~2錠を1日1回 |
服用可能な年齢 | 5歳以上 |
酸化マグネシウムのみが配合されている便秘薬です。5歳以上の子どもから服用できます。腸に水を集めて便をやわらかくするので、自然な排便を促すことが可能です。
成分(6錠あたり) | 酸化マグネシウム:2,000mg |
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用法用量 | 15歳以上:1回3~6錠を1日1回 11歳以上~15歳未満:1回2~4錠を1日1回 7歳以上~11歳未満:1回2~3錠を1日1回 5歳以上~7歳未満:1回1~2錠を1日1回 |
服用可能な年齢 | 5歳以上 |
液体タイプの便秘薬です。3歳以上から服用できます。便秘や痔、腹部膨満などのほか、胃酸過多や胸やけ、胃もたれなどの症状にも使用可能です。制酸剤として使う場合は5歳以上から服用するようにしてください。
成分(100mLあたり) | 水酸化マグネシウム:12g |
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用法用量 | 15歳以上:1回5~17mLを1日1回 11歳以上~15歳未満:1回3~11mLを1日1回 7歳以上~11歳未満:1回3~8mLを1日1回 3歳以上~7歳未満:1回2~5mLを1日1回 |
服用可能な年齢 | 3歳以上 |
便をやわらかくする酸化マグネシウムに加えて、腸内環境を整えるラクトミンが配合された便秘薬です。排便を促しながら便が出やすい環境を整えます。
成分(6錠あたり) | 酸化マグネシウム:2,000mg ラクトミン(乳酸菌):20mg |
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用法用量 | 15歳以上:1回3~6錠を1日1回 11歳以上~15歳未満:1回2~4錠を1日1回 7歳以上~11歳未満:1回2~3錠を1日1回 5歳以上~7歳未満:1回1~2錠を1日1回 |
服用可能な年齢 | 5歳以上 |
ピンクの小粒で有名なコーラックですが、酸化マグネシウムが主成分でお腹が痛くなりにくいタイプの便秘薬もあります。口の中に入れると水分を含んで錠剤が崩壊するため、錠剤を飲み込むのが苦手な方でも使いやすいでしょう。
成分(6錠あたり) | 酸化マグネシウム:1,980mg |
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用法用量 | 15歳以上:1回3~6錠を1日1回 11歳以上~15歳未満:1回2~4錠を1日1回 7歳以上~11歳未満:1回2~3錠を1日1回 5歳以上~7歳未満:1回1~2錠を1日1回 |
服用可能な年齢 | 5歳以上 |
酸化マグネシウムは子どもからでも服用しやすい便秘薬ですが、注意点もいくつかあります。
酸化マグネシウムは、必ずコップ1杯以上の多めの水で服用するようにしてください。これは、薬が食道に引っかかるのを防いだり溶解や吸収を速やかにしたりするためです。
マグネシウムは、腎臓から排泄されます。腎機能が低下している方が酸化マグネシウムを服用すると、体内にマグネシウムが過剰に溜まり、悪心や嘔吐、筋力低下や血圧低下などの副作用が出ることがあるので注意してください。腎機能が低下している方は、医師に相談してから服用しましょう。
酸化マグネシウムは使いやすい便秘薬である一方で、漫然とした使用には注意しなければなりません。次のような方は、早めに医療機関を受診しましょう。
市販の酸化マグネシウムをしばらく服用しても排便がない場合は、医師に相談するようにしてください。ほかの便秘薬や市販の酸化マグネシウムよりも用量が多いものを処方してもらえる可能性があります。
便秘と下痢を繰り返している場合は、病気が隠れていることがあるので注意しましょう。代表的な病気に、過敏性腸症候群があります。過敏性腸症候群の場合は専用の薬を使うことで症状が改善することもあるため、医師に相談してみてください。
次のような症状があらわれた場合は、副作用の可能性があります。副作用が出た場合は服用を中止して医師や薬剤師に相談しましょう。
項目 | 症状 |
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消化器 | 激しい腹痛、吐き気、嘔吐 |
精神神経系 | 強い眠気、意識が薄れる |
循環器 | 立ち眩み、脈が遅くなる |
呼吸器 | 息苦しい |
その他 | 筋力の低下、口の渇き |
最後に、酸化マグネシウムに関してよく聞かれる質問にお答えします。
ビサコジルやピコスルファートナトリウムなどは、腸を刺激して蠕動運動を促すことで排便を促す成分です。そのため、腹痛の副作用が出やすくなっています。一方で酸化マグネシウムは、腸に水分を集めて便をやわらかくするものなので、痛みが出にくいことが特徴です。
服用してから効果が出るまでには8~10時間ほどかかります。ただし、個人差が大きく人によっては1~2時間で効く場合もあります。
酸化マグネシウムは体内にほとんど吸収されないため、妊娠中の便秘にも広く使われています。ただし、大量に服用すると子宮を収縮させる恐れがあるため、服用する際は主治医に相談するようにしてください。
酸化マグネシウムは、腸に水分を集めて便をやわらかくすることで排便を促す便秘薬です。比較的、小さな子どもから服用できます。お腹が痛くなりにくい薬ですが、初めて服用するときは最小量から試すようにしてください。
酸化マグネシウムを服用しても排便がない場合は、ほかの薬が適応となるケースもあるので医療機関を受診して医師に相談しましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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