ビラノア(ビラスチン)は、2016年に薬価収載された比較的新しい抗ヒスタミン薬です。
1日1回の服用で効果が持続し、眠気も出にくく使いやすいことから「市販でも買えないのかな?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
今回は、ビラノアを市販でも購入できるのか、ビラノアと似た市販薬にはどのようなものがあるのかについて詳しく解説します。
ビラノアは、大鵬薬品工業株式会社とMeiji Seikaファルマ株式会社の共同販売契約にもとづき、2016年から国内で販売されている第2世代の抗ヒスタミン薬です。海外でも広く使われている薬で、100か国以上でアレルギー性鼻炎や蕁麻疹への効能効果が承認されています。
ビラノアの主成分はビラスチンです。現在は「ビラノア錠」と「ビラノアOD錠」の2種類が販売されており、どちらも1錠あたり20mgのビラスチンを含んでいます。ビラスチンは、アレルギーの発症に関わっているヒスタミンの働きを抑えることで効果を発揮する成分です。
抗ヒスタミン薬と聞くと眠気が出たり口が乾きやすかったりなどのイメージがあるかもしれませんが、ビラスチンはこれらの副作用が出にくいため日常的に使いやすい薬だといわれています。車の運転についての注意事項もとくに添付文書等に記載されていないため、服用中の運転も可能です。
ビラノアには、3つの効能効果があります。
1日1回、ビラスチンとして20mgを空腹時に服用してください。空腹時であれば朝昼夜いつ服用しても構いません。空腹時とは、食事の1時間以上前もしくは食後2時間以上後と認識いただければ大丈夫です。
ビラノアが空腹時の服用となっているのは、食事の影響を受けてしまうためです。食後に服用すると、血漿中濃度がうまく上がらず十分に効果が出ません。そのため、必ず空腹時に服用してください。
残念ながら、現時点でビラノアと同じ成分が含まれている市販薬は販売されていません。つまり、ビラノアを服用したい場合は、必ず医師に処方してもらう必要があります。
厚生労働省が公表している「スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望募集で提出された要望について」では、市販でも販売してほしいと要望のあった医療用医薬品の成分一覧を確認することが可能です。
平成28年度から令和2年度までに要望があった成分の一覧にビラスチンが含まれていないことから、しばらくは市販で販売される見込みはないといえるでしょう。
ビラノアとまったく同じ成分が含まれている市販薬はありませんが、眠気が出にくく使いやすい成分はほかにもいくつか知られています。どうしても市販で抗ヒスタミン薬を購入したい場合は、代替品となる市販薬を使うことも検討してみてください。
アレグラFXは、1日2回服用する必要があるものの、眠気が出にくいことが特徴です。乗り物の運転に関して注意事項の記載はとくにありません。また、食前でも食後でも服用できるため、タイミングを気にせずに使用できます。
ただし、皮膚疾患へは使用できないので注意しましょう。アレルギーや花粉などによる鼻の症状のみに使用できます。
主成分 | フェキソフェナジン塩酸塩 |
---|---|
効能効果 | 粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:くしゃみ、鼻みず、鼻づまり |
用法用量 | 1日2回、1回1錠を朝と夕に服用する |
乗り物の運転 | できる |
アレジオン20は、ビラノアと同じく1日1回の服用で済む抗ヒスタミン薬です。眠くなりにくい成分ではありますが、注意事項に「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」との記載があるため、乗り物の運転は避けましょう。なお、アレジオン20も皮膚疾患への適応はありません。
主成分 | エピナスチン塩酸塩 |
---|---|
効能効果 | 花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:鼻みず、鼻づまり、くしゃみ |
用法用量 | 1日1回、1回1錠を就寝前に服用する |
乗り物の運転 | できない |
1日1回の服用で効果が持続するタイプの抗ヒスタミン薬です。できるだけ毎回同じ時間帯に服用してください。乗り物の運転についての注意事項は記載されていないため、服用中も運転ができます。クラリチンEXも皮膚疾患には使用できません。鼻の症状のみに使用できます。
主成分 | ロラタジン |
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効能効果 | 花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:鼻みず、鼻づまり、くしゃみ |
用法用量 | 1日1回、1回1錠を食後に服用する |
乗り物の運転 | できる |
ビラノアのように眠気が出にくい市販薬には、アレグラFXやアレジオン20、クラリチンEXなどがあります。どれももともとは医療用医薬品として使用されていた成分が使われている市販薬です。医療機関でもよく処方されている成分ですが、使用するにあたっていくつか注意点があります。
飲み薬だけでは、どうしても鼻詰まりや目のかゆみなどの症状を完全に抑えることはできません。市販の抗ヒスタミン薬を服用しても鼻詰まりや目のかゆみが気になるときは、点鼻薬や目薬を併用するとよいでしょう。併用することで、より快適に過ごしやすくなります。
服用するときは、必ず用法用量を守るようにしてください。自己判断で服用量を増やすと、思わぬ副作用が出る恐れがあります。また、万が一大きな副作用が出てしまったとしても、用法用量を守っていない場合は医薬品副作用被害救済制度の対象にはなりません。
最後に、ビラノアに関してよく聞かれる質問にお答えします。
日本では、スギ以外にもさまざまな花粉が年中を通して飛散しています。スギ花粉以外のシーズンに鼻水やくしゃみが止まらない場合は、イネやブタクサなどほかの花粉に反応している可能性があるかもしれません。症状が気になる方は、耳鼻科などで検査してもらうとよいでしょう。
ビラノアにステロイドは含まれておりません。
ビラノアを食後に服用すると、十分な効果が発揮されません。食後に服用すると、最高血漿中濃度が約60%低下することが分かっています。そのため、必ず空腹時に服用するようにしてください。
ビラノアを服用して体重が増加したという報告はありません。太る副作用はないのでご安心ください。
ビラノアは現時点で市販では販売されていません。そのため、ビラノアを服用したい場合は、耳鼻科などを受診して処方してもらいましょう。
なお、個人輸入サイトでビラノアと同じ成分の抗ヒスタミン薬が販売されていることがありますが、こちらは絶対に使用しないでください。個人輸入サイトで販売されている薬には、有効成分が規定量入っていなかったり、体に害のある成分が混入していたりすることがあります。
ビラノアは、眠気が出にくく1日1回の服用で効果が持続することから、使いやすい抗ヒスタミン薬として知られています。しかし、ビラノアと同じ成分が含まれている市販薬は販売されていません。
ビラノアを服用したい場合は、医療機関を受診しましょう。どうしても受診する時間がない方は、ビラノアの代替品となる市販薬の使用を検討してみてください。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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