2024/09/30

小さい子が大好きな「ごっこ遊び」。お家で毎日のようにお店屋さんやお医者さんなど「〇〇ごっこ」をやりたがるお子さんにつきあうのが大変…というママやパパもいるかもしれません。

でも実は、子どもの成長や発達に「ごっこ遊び」は重要な役割を果たしているんです。今回はその理由を解説します。

なぜ小さい子は「ごっこ遊び」をしたがるの?

赤ちゃん時代が過ぎ、言葉が話せるようになる頃の小さい子たちは、保育園や幼稚園でも、家でも、さかんに「ごっこ遊び」をやりたがります。

実は、この時期の子どものごっこ遊びは、社会生活に備えての「学習」の役目を果たしているといわれます。

「学ぶ」の語源は「まねぶ」つまり「真似」だという説もあるほど、子どもにとって、周囲の大人たちが行っている生活の場面を真似ることは、生きていく上で欠かせないインプットだというわけですね。

赤ちゃんも早い時期からなにかと大人のまねをしては様々な動きを覚えていきますが、幼児になりごっこ遊びをするようになってくると、いよいよ次のような力が本格的に育ってきたことがうかがえます。

  • まわりの世界を認識する力
  • 自分を客観的に見る力
  • できごとを記憶して再現する力
  • そこにないものをイメージする力

幼児にとって「ごっこ遊び」のメリットは

子どもたちにとって、ごっこ遊びは大人になったようでとても楽しい時間。そしてその裏では、いろいろな力が身に付くメリットもあります。

観察力

家族や世間の人は、どんな目的でどんな言動をしているのだろう?と見極めるようになります。

表現力

ごっこ遊びの一連の作業・ストーリーを再現するために、言葉や動きを工夫するようになります。

想像力

「もし自分が忍者だったら」「レストランをやるなら」と状況を思い浮かべたり、「この患者さんはなんの病気なのかな?」など他者の状況を想像できるようになります。

社会性

役を決めて演じることで、人には個人としての自分以外に「社会的な役割」が存在することに気づきます。

協調性

複数の友だちとごっこ遊びを進めていくには、相手の希望も取り入れなければ成立しないことに気づき、協調性が育ちます。

コミュニケーション能力

同じく、楽しく遊びを続けるにはお互いの思いを伝えあうことが大切だと気づき、コミュニケーションを取ろうとします。

人間関係調整力

ごっこ遊びの方向性や意見が割れたときの解決方法を学びます。

譲り合いの精神

誰か1人の思い通りにするよりも、お互い譲り合った方が気持ちよく遊べることを感じます。

ルールを守る力

遊びを維持するため、ルールを守る必要性に気づいたり、さらにルールを作る力が身についたりします。

計画性

ごっこ遊びに必要な設定を考えて、役割分担したり必要なものを用意したりする過程で計画性が身につきます。

ごっこ遊び、いつからいつまで夢中になるの?

「わたしがお医者さんになるから、ママはおなかいたいって言ってね」
「お母さん、たたかいごっこしよう!お母さんがわるものになって」

最近お子さんがごっこ遊びに夢中で、日々付き合っている…というママ・パパもいるかもしれません。

子どものごっこ遊びは発達に良いとはいえ、ひたすら相手役を要求されると大変ですよね。

時には「これいつまで続くの…?」と思ってしまうのではないでしょうか。

一般的には、赤ちゃんは0歳代から積み木を耳にあててスマホの真似をしたり、車に見立てて走らせたりする「見立て遊び」を始めます。

2歳前後から、お人形やぬいぐるみにミルクをあげる、寝かしつけるといった「つもり遊び」も始まります。

そして、見聞きした体験や絵本などから自分でシチュエーションを設定し、それになりきって遊ぶ「ごっこ遊び」が始まるのはおもに3歳頃からといわれています。

保育園や幼稚園に通う4~5歳頃の子どもたちは、複数で「ごっこ遊び」に夢中になることが多く、この時期がもっともごっこ遊びがさかんな年齢といえるでしょう。

小学校に入学すると、スポーツやゲームなど遊びの選択肢の選択肢が増えて「ごっこ遊び」をする機会はしだいに減っていきます。とはいえ、小学校3~4年生まではまだまだ「ごっこ遊び」の好きな子も。

家でママやパパが「ごっこ遊び」に付き合わされるのは、4~5歳頃の1年間程度と思われます。

「子どもはもちろんかわいいですが、おもちゃの料理を何回も何回も持ってきて、わーおいしい!と食べるの、正直私はまったく面白くなくて…」という切実な声も。

しかし、一時期は夢中になっても、成長とともに急速に興味関心や遊び方が変わっていくのも子ども時代の特徴です。できる範囲で付き合いながら、楽しい時間を過ごさせてあげたいですね。

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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