全国各地にあるコンビニで第1類医薬品であるロキソニンやガスターが購入できたら便利だと感じている方が多いのではないでしょうか。
厚生労働省は、薬剤師や登録販売者の資格をもった人が不在でもコンビニで医薬品が買えるようにする方針を2024年11月に発表しました。
しかし、資格者が不在の状態で医薬品を購入するためには、いくつかのステップを踏まなければなりません。今回は、薬剤師不在で第1類医薬品を購入する方法やこれからの問題点、メリットやデメリットを詳しく解説します。
これまで、コンビニでは薬剤師や登録販売者などの資格をもつ方がいないと医薬品の購入ができませんでした。
コンビニに薬剤師がいることは少なく、ロキソニンSやガスター10などの第1類医薬品を購入する場合は、薬局やドラッグストアに行かなければならないケースがほとんどです。
地方だと、ドラッグストアにも薬剤師がほとんどいないため、第1類医薬品を購入できる場所は非常に限られています。
2024年5月時点で、第1類医薬品には主に次のような種類があります。この他にも第1類医薬品には多くの種類があるため、すべての商品をコンビニで扱うのは難しいでしょう。
ロキソニンSやガスター10など代表的な医薬品が取り扱われるようになるのではと考えられます。
口唇ヘルペス用薬 ●アクチビア軟膏
●アラセナS
●アラセナSクリーム
●アヘルペシアクリーム内臓脂肪減少薬 ●アライ 一般用SRASコロナウイルス抗原キット ●アンスペクトコーワSARS-CoV-2(一般用)
●Panbio COVID-19 Antigen ラビッド テスト(一般用)中性脂肪の改善薬 ●エパデール 腟カンジダの再発治療薬 ●エンペシドL
●エンペシドLクリーム
●オキナゾールL100男性ホルモン製剤 ●オットピン
●強力バロネス
●金蛇精
●グローミン
●トノス
●プリズマホルモン精解熱鎮痛薬 ●コルゲンコーワ鎮痛解熱LXα
●スカイブブロンLX
●ナロンLoxy
●ハリー解熱鎮痛薬L
●ロキソニンS制酸薬 ●ガスター10 鼻炎用内服薬 ●タリオンAR 排卵日予測検査薬 ●チェックワンLH・Ⅱ排卵日予測検査薬
●ドゥーテストLHⅡ
●ハイテスターH肝斑治療薬 ●トランシーノEX 禁煙補助薬 ●ニコチネルパッチ10/20 排卵日予測検査薬 ●ペレウス
●リアップ
市販薬は、分類によって販売ルールが異なります。普段は何気なく購入しているかもしれませんが、この機会に一度確認しておきましょう。
要指導医薬品に分類されるものは、インターネットでの販売ができません。代理での購入もできないので注意しましょう。
医薬品の分類 販売できる人 購入時の説明 インターネット、郵便などでの販売 要指導医薬品 薬剤師 書面での情報提供(義務) 不可 第1類医薬品 可能 第2類医薬品 薬剤師または登録販売者 努力義務 第3類医薬品 規定なし
これまでにも、コンビニで医薬品を購入することができました。しかし、薬剤師が不在の店舗が多く、ほとんどは第2類医薬品や第3類医薬品のみの扱いです。
そのような中、コンビニで扱ってほしい商品を調べたところ、医薬品が53.3%で1位になりました。医薬品がコンビニで購入できるようになると、以下のようなシーンで役立つことが想定されます。
- 急に体調が悪くなったときに対応できる
- 早朝や深夜などドラッグストアや薬局が開いていない時間に薬が必要になったときにも購入できる
- 外出先で急に医薬品が必要になったときに購入できる
- 遠方への外出が困難なときでも手軽に購入できる
- ネット通販とは違い、すぐに医薬品が欲しいときでも購入できる
過去に災害が起こったときもコンビニでの医薬品販売量が増加しました。ライフラインを保つためにもコンビニでの医薬品販売を推進しようという動きが見られます。
通常、第1類医薬品を購入するためには、薬剤師から説明を受けなければなりません。しかし、厚生労働省は薬剤師不在のコンビニでも第1類医薬品が購入できるようにと動きを見せています。
薬剤師不在で第1類医薬品を購入する手順は、以下のようになる見込みです。
どちらかというと、「コンビニで購入する」よりも「コンビニで薬を受け取る」という表現が近いかもしれません。
厚生労働省は、全国のコンビニで医薬品が購入できるように体制を整える見込みです。しかし、現時点ですでにいくつか問題点があります。
2023年2月時点のデータによると、全国にあるコンビニ57,260店舗のうち、医薬品を扱っているのはわずか424店舗(0.7%)です。取り扱っている店舗が非常に少ないため、医薬品を扱っているコンビニを見たことがない方がほとんどでしょう。
登録販売者や薬剤師の時給は、無資格の方よりも高いことが一般的です。医薬品が売れる分、売上は増えますが、人件費も高くつくのでコンビニの利益につながるのかという問題点があります。
薬剤師不在でも第1類医薬品の購入ができるようになると、次のようなメリットを得られます。
急に体調が悪くなっても、コンビニなら24時間開いているのでいつでも必要な薬を購入できます。早朝や深夜でも薬を購入できるのは、心強いものです。
ほとんどのコンビニは24時間営業です。24時間営業のドラッグストアもありますが、深夜や早朝は薬剤師が不在のことも少なくありません。しかし、コンビニなら時間帯を気にせず必要な薬を購入できます。
病院が閉まってしまう時間帯、休診日でもコンビニならいつでも駆け込めます。スマートフォン上で薬剤師による説明を受けられるので、病院のように時間帯や曜日を気にする必要がありません。
災害時のように混乱している現場でも、コンビニに行けば必要な薬が手に入ります。平成30年に起きた西日本豪雨では、コンビニでの医薬品の需要が通常時と比べて4倍に増加しました。
全国のコンビニで薬が手に入るようになれば、災害時の混乱を少しでも抑えることができるでしょう。
都内では多くのドラッグストアに薬剤師が常駐していますが、地方では薬剤師がいないドラッグストアのほうが多く見られます。「薬剤師がいないから薬が購入できない」というケースを大きく減らせるでしょう。
薬剤師不在で第1類医薬品がコンビニでも購入できるようになると、多くのメリットを得られますが次のようにデメリットもあります。
コンビニでの医薬品販売が、濫用の助長につながる恐れがあります。濫用の疑いがあると薬剤師が判断した場合は販売できないようにする仕組みが作られる予定ですが、それでも濫用を完全に防ぐのは難しいでしょう。
現時点で、コンビニで医薬品を購入するのにお薬手帳の提示が必須であるとは公表されていません。薬剤師が口頭で併用薬がないかヒアリングはしますが、購入者が「ない」と言ってしまえばそれ以上の確認はできません。
第1類医薬品の説明をするのは薬剤師ですが、レジを打つのは無資格者のことがほとんどです。支払いの際に無資格者が薬について質問を受けることも想定されます。
薬剤師不在でもコンビニで第1類医薬品が購入できるようにすると厚生労働省が動きを見せています。購入するためには、スマートフォンのアプリなどを通して薬剤師による説明を受けなければなりません。
その後、確認証などが発行されます。確認証をコンビニで見せると、薬の購入が可能です。メリットとデメリットの両方がありますが、全国のコンビニで医薬品が購入できるようになると助かるという方が多いでしょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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