2025/01/17

令和8年(2026年)は、60年に1度の「丙午(ひのえうま)」の年です。

今年の春以降に赤ちゃんを授かりたいと考えているご夫婦の中には、生まれてくるお子さんの干支がひのえうまになることから「ひのえうまの女性は気性が激しい」などという言い伝えが気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

現代では、このような言い伝えは迷信だとわかっていますが、それでも親御さん世代や周囲の反応が気になる方もいるかもしれません。そこで、なぜこの迷信が生まれたのか、実は存在するメリットや周囲の人へのおすすめの返し方についても紹介します。

ひのえうまの意味と、言い伝えの理由

丙午(ひのえうま)とは、子・丑・寅…の「十二支(じゅうにし)」)と、甲・乙・丙…で始まる「十干(じっかん)」を組み合わせた「干支(えと)」のうち「丙」と「午」が組み合わさった年のことで、60年に1回めぐってきます。

前回は1966年(昭和41年)で、2025年現在58~59歳の方がひのえうま生まれ。生年月日を公表している芸能人では小泉今日子さん・斎藤由貴さん・RIKACOさん・安田成美さんなどがいます。

過去には、なぜか女性限定で「ひのえうま年生まれの女性は気性が激しい」「夫を食い殺す(!)」などと言われ、これを心配したカップルが出産を避けたために、1966年に生まれた赤ちゃんの人数は前後の年より約25%少なかったことが分かっています。

なぜこのような言い伝えが生まれたのかは定かでありませんが、もちろん医学的な根拠等はなく、以下のような伝承や占いが混じり合って迷信に変わっていったのではないかと考えられています。

  • 干支の「丙」と「午」は、ともに陽・火の性質を持つとされ、この年に生まれた人は気性が激しいとされた
  • 江戸時代より「丙午の年は火災が多い」という言い伝えがあった
  • 井原西鶴の『好色五人女』で、放火により火あぶりになった「八百屋お七」が丙午年の生まれという設定だった

それ以前の文献は今のところ見つかっておらず、どうやら江戸時代後期からこのような話が広まっていったのではないかと考えられます。

実はいろいろある!?ひのえうま生まれのメリット

過去には「もし女の子が生まれたら将来縁談がまとまらないかも」「育てるのに苦労しそうだ」という理由で、出産を避ける親たちも多かったひのえうまの年。

しかし実際にひのえうま生まれの女性に話を聞いてみたところ、意外にもメリットも多かったそうです。

Yさん
「部活では私たちの学年だけ少なくて、レギュラーになりやすいというのもありましたが、それよりも少人数だからこその助け合いやチームワークの良さは上下の学年と比べてもすごくよかったと思います」
Kさん
「大学受験ではやはり前後の年より競争率が低かったです。ちなみに1学年下は反動で人数が多かったので、高校の先生からはできるだけ浪人しないように!と言われました。自分は女子だから年配の人からいろいろ言われて嫌な思いもしたけど、男子は何もいわれなくて競争率だけ低いので、今思うとちょっとうらやましいですね(笑)」
Aさん
「私たちはいわゆるバブル世代で、就職時に前後の採用人数も多かったのですが、同期だけは人数が少なめ。仕事上のチャレンジやポジションについては恵まれていたと思います」
Mさん
「小さい頃に母と祖母が、この子は嫁に行けるのかねえという話をしていて不安になったのですが、いざ大人になってみると交際相手で気にする人はほとんどいませんでした。後から聞いたところでは、夫の両親は私がひのえうまと知って少し身構えていたそうですが、初めてあいさつした時、いたって普通だったようで、何もしていないのに好感度が上がって得したかもしれません(笑)」

周囲の人にはどう返すのが良い?

これをお読みの20~40代くらいの方の中には「”ひのえうま”なんて初めて聞いた」という 方も少なくないかもしれません。

実は今回、いまさら取り上げることで逆に不安になるママ・パパを増やしてしまうのではないかと迷いました。

しかし現在50代以上の年代では、若い頃にさらに年上の世代から言われたり、テレビなどで見聞きしたりして知っている人も多く、認知度は下がったとはいえまだ「ひのえうま」を気にする人はいると考えています。

そこで、もし周囲の人からなにか言われたときにはどう考えればいいのか、どう返せばいいのかも考えてみました。

実の親など本音で話せる相手であれば、

「それって、江戸時代の流行ドラマみたいな話から生まれた迷信らしいよ」
「生まれた年で性格が決まるなら、同級生が全員同じ性格ってことになるよね?」
「海外でひのえうま年に生まれた人たちは、他の年生まれの人たちと何も変わらないよ」

などの理にかなった説明をすれば、事実をよく知らないことから生まれる漠然とした不安を解消できそうですよね。

また現在の親御さん世代なら上記で紹介した芸能人を青春時代に見てきているはず。どの方も「気性が激しくパートナーを害する」ようなことはなく、自分らしく活躍されていることを教えてみるのも有効かもしれません。

少し関係性が遠い方から「あら、おめでた?でもひのえうまだから苦労するんじゃない」のように言われたときは、大変不快かとは思いますが「ありがとうございます、でも授かったときが一番ですから」と返して、その場を離れるか話題を変えてしまうのが現実的ではないでしょうか。

次のひのえうまは2086年。今年や来年に生まれる赤ちゃんもシニア世代です。その頃にはどんな社会になっているのかは分かりませんが、こういった迷信が世の中からなくなっていることを期待しています。

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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