患者さんひとりひとりに合わせた、より適切な治療を!
開業にこの街を選んだ理由は何でしょうか。
私は島根県益田市に生まれ小学校卒業まで過ごしたのち、中学からは父の仕事の関係で広島に転居し修道中学校・高等学校に通っていました。九州大学医学部に進学し卒業後は付属病院等で皮膚科医師として勤務していましたが、平成15年に広島赤十字・原爆病院に赴任となり以後15年間皮膚科医長として診療させて頂きました。 数年前から開業を考え始め、以前から広島赤十字・原爆病院から近く落ち着いた素敵な住宅街である吉島での開業を希望していたところ、この地で新しく医療モールの開設と皮膚科の募集があったため開業を決めさせて頂きました。
先生が診療の際に心掛けていることはなんですか。
まずは、当たり前のことですが自分の診断を常に疑い続けることです。皮膚科においても感染症、皮膚癌、膠原病、内科疾患に伴う皮膚病変等、命に関わることもありますし、数多く診察する湿疹の中に、非典型的な疥癬、体部白癬、皮膚リンパ腫、ボーエン病(上皮内癌)などが紛れ込んでくることもあります。吉島ましの皮ふ科では、より正確な診断を第一に診療に当たっています。
最後に読者のみなさまへメッセージをお願いします。
皮膚科治療の中心は外用療法(塗り薬を塗ること)です。外用療法の際には、外用する部位 、外用剤の選択、外用する量、外用の仕方、外用頻度、外用期間等について御説明致しますが、実際に外用を行うのは患者さん自身です。すなわち、患者さんは治療者でもあります。よって、特に慢性の皮膚疾患の患者さんには出来るだけ御自分の皮膚疾患と外用治療の意義について御理解して頂きたく思っており、出来るだけ丁寧な説明を心がけています。 近年、アトピー性皮膚炎においては、その維持療法であるプロアクティブ療法や、食物アレルギーにおける経皮感作説(二重抗原曝露仮説)が広がり、乳幼児期や難治性のアトピー性皮膚炎の治療の考え方や戦略が変わりつつあります。また、高額ではありますがデュピクセント という強力な治療薬(抗体製剤)も使えるようになりました。20数年前、私が研修医の頃はステロイド外用剤が社会問題になり、また皮膚科医の間でも治療方針に混乱があったように思われます。いまは治療ガイドラインも作成され、当時には無かった免疫抑制剤の外用・内服薬やエキシマライト等の紫外線治療もあります。難治性のアトピー性皮膚炎でお悩みの方はもう一度皮膚科で御相談されてみてはいかがでしょうか。 あと、ニキビは悪化すると跡(瘢痕)が残ります。数年前から日本でも世界標準の外用治療薬(過酸化ベンゾイル、アダパレン)が使えるようになっていますので、軽症のときから皮膚科受診をお勧めします。