急性副腎皮質機能不全
急性副腎皮質機能不全は、何らかの原因により通常は体の状態に合わせて分泌されているホルモンが、急激に不足することで発症します。副腎皮質から分泌されている副腎皮質ホルモンは、糖分の代謝、水分や酸・塩基等のバランスに関わり、さらにはストレスに対抗する働きも持つ重要なホルモンです。
急性副腎皮質機能不全は、副腎皮質ホルモンという重要なホルモンが関わっているため、治療が遅れると死に至ることもある病気です。
急性副腎皮質機能不全の原因
急性副腎皮質機能不全は、単に副腎皮質ホルモンの分泌量が減ってしまう時だけでなく、分泌が不十分な時にも発症します。
副腎皮質ホルモンの分泌量が十分でなくなる原因としては、副腎の細菌感染や血管のつまり等があります。また、副腎皮質を刺激して副腎皮質ホルモンの分泌を促すための副腎皮質刺激ホルモンの分泌低下も関与しています。また、怪我や発熱、ストレス等が原因となることもあります。
さらに、長期にわたって多量の副腎皮質ステロイド薬を服用していた患者が、突然服用を中止した場合にも起こる可能性があります。
さらに、手術により副腎を摘出した際や、下垂体腫瘍、分娩後等にも起こる可能性があります。
急性副腎皮質機能不全の症状
急性副腎皮質機能不全の症状として、まず、食欲不振や全身倦怠感、脱力感等が見られ、吐き気や下痢、腹痛等や発熱が現れるようになります。その後急速に症状が悪化し、脱水症状や血圧低下、意識障害、呼吸困難等の重い症状が現れるようになります。
急性副腎皮質機能不全は症状が急速に進んでいくため、重症化しやすく注意が必要な病気です。
急性副腎皮質機能不全の治療と予防
急性副腎皮質機能不全の治療
副腎皮質機能不全は急速に悪化していく病気のため、この病気が疑われた場合には診断結果を待たず治療に取り掛かります。
治療はステロイド薬を内服や点滴で補充していきます。また、脱水や低血糖が起こっている場合には、点滴等で電解質を補い、対処していきます。
急性副腎皮質機能不全の予防
急性副腎皮質機能不全は主に、副腎不全の患者、副腎皮質ステロイド薬の長期投与を行っていつ患者で起こります。稀に知らない内に副腎不全になっており、これが悪化して急性副腎皮質機能不全の状態になるケースもあります。
副腎不全患者の場合は、医師と相談しながら普段の薬の量の調節を行っていくことが大切です。健常者ではホルモンは日内変動するため、できるだけそれに近くなるよう内服を行っていくことが重要です。
また、薬を服用している人は自己判断で止めないことが大切です。医師と相談し、医師の指示に従うようにしましょう。
知らない内に副腎不全になってしまっていたケースでは、予防は難しいです。副腎不全の初期症状として食欲不振や疲れやすさがありますが、初期に気付くことは殆どありません。しかし、副腎不全の数少ない特徴の一つとして色素沈着があるため、色素沈着に気付いた場合は早めに医師の診断を受けるようにしましょう。
いとう腎・泌尿器科クリニック 院長伊藤 誠一
【経歴・資格・所属学会】
平成7年 鳥取大学医学部卒業
平成7年 岡山大学医学部泌尿器科研修医
平成8年 福山市民病院泌尿器科
平成8年 国立病院機構岩国医療センター泌尿器科
平成9年 倉敷成人病センター泌尿器科
平成11年 国家公務員共済組合連合会 呉共済病院泌尿器科
平成28年 いとう腎・泌尿器科クリニック開院
[資格]
日本泌尿器科学会専門医
日本泌尿器科学会指導医
腎移植学会専門医
臨床腎移植学会専門医
[学会]
日本泌尿器科学会
日本移植学会
臨床腎移植学会