前立腺がん
前立腺とは男性にしかない生殖器の一つです。前立腺液を分泌して精子の運動を活発にする役割があります。その前立腺に要らない細胞が増え続けることで前立腺がんが発病します。要らない細胞の集まった塊が、がんです。要らない細胞は毎日生み出されています。しかし、免疫によって排除されているため、普段がんになることはありません。免疫機能が弱いまたは要らない細胞の増殖に排除が追い付かなかった場合にがんを発病します。前立腺がんは亡くなってから発病していることに気付くケースが多くあります。それほど進行が遅いがんなのです。しかし、転移の危険があるため安心はできません。早期発見、治療をしっかり受けるようにしましょう。前立腺は男性にしかないので前立腺がんを女性が発病することはありません。
前立腺がん原因
前立腺がんの主な原因は、男性ホルモンのバランスの乱れや食生活、生活習慣によるものが指摘されています。ホルモンバランスは加齢によって乱れるため、高齢になるにつれて前立腺がんのリスクが高まります。前立腺がんは脂肪分や乳製品の摂取も原因の一つです。とくに動物性脂肪が前立腺がんのリスクを高めます。他のがんと同じくたばこや飲酒、生活習慣も原因です。たばこや飲酒は前立腺がんの進行を早めるという研究結果も出ています。遺伝もがんの発病の原因です。
前立腺がん症状
前立腺がんには初期症状がほとんどありません。他の病気の検査で気付くというケースがよく報告されています。排尿障害、排尿回数の増加、排尿時の痛み、血尿などが前立腺がんの症状です。がんが転移している場合、骨が痛くなることもあります。排尿時に違和感を覚えた場合、検査を受けましょう。また、前立腺肥大症を併発している場合、残尿感や尿を漏らしてしまうといった症状も現れます。前立腺がんと前立腺肥大症は併発しやすい病気です。がんは症状が出始めた頃には進行しています。できるだけ進行していない段階で見つけるために、定期的に検査を受けておきましょう。早期発見だと完治の可能性が高く、治療に多くの時間を取られることもありません。
前立腺がん予防と治療
予防
前立腺がんを予防するために脂肪分と乳製品の多い食事を控えましょう。全く摂らないのではなく、バランスを考えて摂り過ぎないようにします。塩分もできるだけ摂り過ぎないことも前立腺がんや他のがん予防に繋がります。
生活習慣も原因となっているため、できるだけ規則正しく生活をしましょう。生活習慣は病気全般の予防にもなります。早寝早起き、適度な運動を心がけましょう。ストレスをためないということも意識しておきましょう。加齢と遺伝も原因です。しかし、加齢と遺伝は防ぐことができないため、早期発見で完治の可能性をあげることに努めます。症状が出ていなくても検査を受けることが早期発見に繋がります。万が一症状が出た場合は様子見せずにすぐに検査を受けましょう。検査をするかどうか迷っている間にもがんは進行しています。
治療
前立腺がんの治療は病状、年齢に併せて選択します。
監視療法
監視療法とは治療しなくても命に危険がないと判断された場合に行われる治療法です。定期的に診察をうけて病状に進展や増悪の徴候が認められた場合に治療を行います。
手術療法
手術では前立腺をすべて取り除きます。がんを根本から治療することが可能です。しかし、術後に性機能障害や尿が我慢できなくなる(尿失禁)といった症状が現れる事があります。性機能は病状の程度により温存も可能ですが尿失禁については残存する場合もあります。
放射線療法
放射線療法はX線をがんに直接照射することで、がんを小さくしたり死滅させる治療法です。副作用として頻尿や排尿の際に痛むといった症状があります。
薬物療法
薬物療法はがんの進行を防ぐ、がんを小さくするといった効果があります。薬物療法でがんを完治することは困難です。前立腺がんの薬物はアンドロゲンという男性ホルモンの活動を抑えて、がんの進行を防ぎます。副作用としてほてり、性機能障害、疲労などの症状が現れます。
どの治療法にもメリットデメリットがあるため、よく考えて決めましょう。
いとう腎・泌尿器科クリニック 院長伊藤 誠一
【経歴・資格・所属学会】
平成7年 鳥取大学医学部卒業
平成7年 岡山大学医学部泌尿器科研修医
平成8年 福山市民病院泌尿器科
平成8年 国立病院機構岩国医療センター泌尿器科
平成9年 倉敷成人病センター泌尿器科
平成11年 国家公務員共済組合連合会 呉共済病院泌尿器科
平成28年 いとう腎・泌尿器科クリニック開院
[資格]
日本泌尿器科学会専門医
日本泌尿器科学会指導医
腎移植学会専門医
臨床腎移植学会専門医
[学会]
日本泌尿器科学会
日本移植学会
臨床腎移植学会