尿道結石
腎盂腎杯、尿管、膀胱、尿道といった、尿が通る道に結石ができる病気のことを「尿路結石」と言います。
尿路結石の成分はシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムなどのカルシウム含有結石が最も多く、全体の70~80%を占め食生活や生活様式の欧米化などにより増加傾向にあります、結石が尿管にできて閉塞すると、尿路感染や腎臓の機能障害などを引き起こすため、早期の治療が重要です。
一度完治しても、5年以内の再発率は30%~40%と比較的高いため、一度発症すると長い経過観察が必要になります。
中年以降の男性や閉経後の女性に発症することが多く、日本人の10%は尿路結石を発症すると言われています。
尿路結石の原因
尿路結石はシュウ酸の摂り過ぎが原因で発症することが多くあります。シュウ酸は体内でも形成されていますが、ほうれん草、コーヒー、紅茶、コーラといったシュウ酸を多く含むものを食べ過ぎると結石ができやすくなります。シュウ酸の他にも、カルシウムが原因で結石ができることもあります。食生活以外にも、水分不足や服運動不足などの生活習慣が原因で発症することもあります。
また、尿路の奇形や遺伝で発症することもあるため、ご家族で罹患した方がいるならば、特に注意をした方が良いでしょう。
尿路結石の症状
結石ができると、排尿時に強い痛みが生じたり、血尿が出る、尿が出にくくなるなどの症状が現れます。痛みは結石の大きさや形状によらず、余りの痛みから吐き気や嘔吐といった症状が見られることもあります。
尿路結石の治療
結石の大きさや症状により治療法が異なります。主な治療法は経過観察、薬物治療、ESWL、内視鏡手術などの手術です。ESWLとは、専用の器械で結石を砕く治療法のことです。
結石が5mm以下の場合は、自然排石が期待できるため、飲水や運動などの経過観察を行います。しかし、10mm以上の大きさになると自然排石は不可能なため、手術が必要です。経尿道的尿管結石破砕術と呼ばれる、石を砕いたり取り除く手術が行われます。また、経皮的腎結石破砕術と呼ばれる、背中から腎臓に通じる穴を開けて石を砕いて取り除く手術が行われることもあります。経過観察や薬物療法を行っても自然排石できない、痛みがひどい場合も手術が検討されます。
結石を放置したことで、結石により尿が通過できず感染症を引き起こしている場合には、一時的にカテーテルを留置して尿を外に排出したり、ステントを留置して尿が流れるスペースを確保する治療が行われることもあります。
尿路結石の予防
結石を一度発症すると、上記の通り再発する確率が高まります。そのため再発しないように予防をすることが大切です。
尿路結石を予防するためには、適量の水分補給、生活習慣の見直しを行いましょう。尿路に結石が形成されないように、1日2L以上の水分を摂り、同時に2L以上の排尿を心掛けて下さい。結石は尿の流速でできにくくなり、尿中カルシウムの濃度を尿量で下げる効果も期待できます。
また、食生活ではシュウ酸の摂り過ぎに注意しましょう。シュウ酸はほうれん草やキャベツ、サツマイモなど、野菜にも多く含まれていますが、尿路結石を発症する人の一部はコーヒーや紅茶の摂り過ぎが関係しています。そのためコーヒーや紅茶は適量に抑え、シュウ酸を摂る際は水を使った食事方法にして下さい。また、カルシウムも結石を作る原因になりますが、カルシウムはシュウ酸を排出する効果があります。極端にカルシウムの摂取を控えるのではなく、適量を心掛けて積極的に摂取しましょう。
食生活以外にも、日頃から適度な運動を心掛けたり、ストレスを溜め過ぎないように十分な休養を取るなど、規則正しい生活を心掛けることで、尿道結石の予防に繋がります。
いとう腎・泌尿器科クリニック 院長伊藤 誠一
【経歴・資格・所属学会】
平成7年 鳥取大学医学部卒業
平成7年 岡山大学医学部泌尿器科研修医
平成8年 福山市民病院泌尿器科
平成8年 国立病院機構岩国医療センター泌尿器科
平成9年 倉敷成人病センター泌尿器科
平成11年 国家公務員共済組合連合会 呉共済病院泌尿器科
平成28年 いとう腎・泌尿器科クリニック開院
[資格]
日本泌尿器科学会専門医
日本泌尿器科学会指導医
腎移植学会専門医
臨床腎移植学会専門医
[学会]
日本泌尿器科学会
日本移植学会
臨床腎移植学会