尿毒症
尿毒症とは、腎臓の働きが10分の1程度にまで低下することで起こる変化や、腎臓障害が進行した状態を指します。腎臓の機能低下は急速に進行することもあれば、糖尿病や高血圧等を介した場合、ゆっくりと進行していくケースが多く見られます。
原因
腎臓は、血液中の老廃物を濾過したり、体内の水分量や電解質を調整したり、ホルモン分泌を促したりする重要な臓器です。その他の機能としては、水分やナトリウム・カリウム・カルシウム・リン等の電解質の調節、血圧の調整をする酵素、骨髄に赤血球を作るよう働きかけるエリスロポエチンの産生機能等の役割を担っています。
そのため、腎臓の機能が低下してしまうことで老廃物が蓄積され、全身の各種臓器に様々な影響を及ぼしてしまうのです。
腎機能が低下する原因としては、薬剤や脱水、尿管結石、前立腺肥大症、糸球体腎炎等があり、それらの腎機能低下を招く要因を放置してしまうと生命にかかわるような事態になる可能性があります。
症状
尿毒症の症状は、腎臓の機能が低下すると様々な臓器に影響が及ぶため、様々な症状が現れます。
初期状態では疲れやすさや倦怠感、全身の浮腫、胸に水がたまる尿毒症性肺が発症します。
他にも、食欲低下、皮膚のかゆみ、睡眠障害、吐き気、視力の障害、貧血等の不調が生じ、中枢神経系にまで影響が及ぶと痙攣が起きることもあります。
また、不整脈の原因となったり、骨の代謝に影響が及んだりすることもあります。症状を放置すると心不全や昏睡状態等を起こして命に危険性が出てくるため、初期症状が見られたらすぐに受診して下さい。
予防と治療
尿毒症の予防
腎不全が原因となり発症するため、腎臓の機能を落とさないよう生活習慣を改めることが予防に繋がります。適度な運動や減塩食、禁煙等を心懸けましょう。また、診断により血糖降下剤や降圧剤等の薬物治療と併用することもあります。
尿毒症の治療
主な治療方法は連続携行式腹膜透析(CAPD)や血液透析、腎代替療法(腎移植等)です。
連続携行式腹膜透析や血液透析は、腎臓に代わって体中や血液中に溜まった余分な水分や老廃物を取り除き、尿毒症を治療します。しかし、ホルモンの分泌や血圧のコントロール等、ろ過機能以外での腎臓の役割を代行することはできません。
連続携行式腹膜透析の副作用としては、脱水や低カリウム血症・高カリウム血症、腹膜炎等の合併症の可能性が挙げられます。
血液透析の副作用は血圧下降や、血液と脳の電解質、尿素に濃度差によって腹痛や吐き気、嘔吐等の「不均衡症候群」が現れることです。
腎代替療法は、ドナーから提供された腎臓を移植する治療方法です。移植することで腎臓の機能が回復するため、生活習慣を整えて行けば症状の完治が見込めると考えられています。
いとう腎・泌尿器科クリニック 院長伊藤 誠一
【経歴・資格・所属学会】
平成7年 鳥取大学医学部卒業
平成7年 岡山大学医学部泌尿器科研修医
平成8年 福山市民病院泌尿器科
平成8年 国立病院機構岩国医療センター泌尿器科
平成9年 倉敷成人病センター泌尿器科
平成11年 国家公務員共済組合連合会 呉共済病院泌尿器科
平成28年 いとう腎・泌尿器科クリニック開院
[資格]
日本泌尿器科学会専門医
日本泌尿器科学会指導医
腎移植学会専門医
臨床腎移植学会専門医
[学会]
日本泌尿器科学会
日本移植学会
臨床腎移植学会