外耳道異物

原因

外耳道異物とは、外耳道に自分の体にない異物が入り込んだり、誤って入れてしまったりした状態のことです。

外耳道は鼓膜から外耳孔を通じて耳の穴までの管状の構造を指し、音の通り道になっています。鼓膜に近い部位は外耳道骨部、耳の穴に近い部位は外耳道軟骨部と言い、外耳道全体は屈曲した形状をしています。

そのため、通常ならば異物が鼓膜付近まで入り込んでしまうことはありませんが、入ってしまった異物を綿棒等で無理矢理に取ろうとして逆に押し込んでしまったり、異物が生きている場合には鼓膜付近まで迷入することがあります。

子どもの場合、ビーズや小石、豆等を誤って入れてしまうケースが多いです。大人の場合は、綿棒の先端や耳かきの先端等、耳掃除中に折れて耳の中に残留しまうケースが多い傾向です。また、夏場には寝ている間等知らない間に、蛾やクモ等の昆虫が入り込んでくる事例もあります。

症状

耳を異物が塞いでしまうため、耳栓を装着時のように聞こえが悪くなったり、自分の声が大きく聞こえたり、耳が詰まったような耳閉感が現れたりすることがあります。

外耳道の粘膜を異物が圧迫して炎症が起きている場合には、痛みや痒みが現れます。外耳道骨部は特に痛みに敏感な部位ですので、傷がつくと強い痛みを伴い、傷から細菌感染を起こすと膿や熱が出ることがあるため注意が必要です。

また、症状が現れずに耳垢が溜まっていることに気が付かないといったケースもあります。
主な症状は、耳が詰まったような耳閉感ですが、虫が外耳道に入った場合には、耳の中で音がしたり、虫が動くたびに痛みが生じたりします。外耳道に異物や虫等が入ってしまった時は、無理に自分で綿棒等を使って取ろうとすることで、かえって異物を耳の奥に押し込んでしまう危険があるため、速やかに耳鼻咽喉科を受診して下さい。

予防と治療

外耳道異物の治療は、異物を摘出することです。
外耳道の奥は鼓膜ですので、鼓膜を傷つけないように無生物の場合はピンセット等を直接外耳道に入れて取り除きますが、異物の形状等によって取り除く際に粘膜に傷をつけて出血することもあり、その場合には血管収縮剤を注入することもあります。また、強い痛みが出る場合には、局所麻酔薬を用いて痛みを和らげます。

昆虫の場合は生存していると暴れるため、外用キシロカイン液等を注入して昆虫の動きを止めた後に治療を施します。
異物の摘出後は、外耳道や鼓膜の傷を治療します。
ほとんどの場合では自然に治りますが、細菌感染が起こり耳だれが出ている場合には洗浄し、細菌検査の結果を考慮した抗菌剤の点耳や軟膏の塗布、内服を行います。

この記事の監修

うした耳鼻咽喉科クリニック 院長片桐 佳明

地域の皆様に信頼していただけるクリニックを目指し平成30年10月に開院しました。
当院では患者さんの苦痛・不安をよく聞いて、病状や治療方法を丁寧に説明し、治療を進めていくことを大切にしています。
また、必要であれば近隣もしくはご希望の総合病院などにご紹介させていただきます。
めまい、いびき、睡眠時無呼吸、耳、鼻、のどに関するお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。

【経歴・資格・所属学会】

※経歴
平成18年3月
東京医科大学医学部医学科卒業
平成18年4月
県立広島病院
平成25年7月
広島大学医学部附属病院
平成27年6月
JA尾道総合病院
平成30年4月
堀病院
平成30年10月
うした耳鼻咽喉科クリニック開院

※資格
医学博士
日本耳鼻咽喉科学会 専門医
身体障害者福祉法指定医師
日本めまい平衡医学会 めまい相談医

※所属学会
日本耳鼻咽喉科学会
日本めまい平衡医学会

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