前庭神経炎
前庭神経炎は、強いぐるぐると回る回転性のめまいと吐き気や嘔吐を起こす疾患です。
前庭神経炎の原因
内耳から脳へと情報を伝えバランスを取るための前庭神経において、何かの理由によって障害されめまいを起こすと考えられています。風邪の症状から発症する場合が多く、ウイルスによる感染が原因ではないかと言われていますがまだ詳しい原因は分かっていません。重篤な脳の病気と違い意識障害やろれつが回らなくなったり、四肢の麻痺等はなく命に関係するような危険性のある病気ではありません。しかし、前庭神経炎によるめまいはとても強く、救急車で搬送され入院する方も多くいます。年代や性差もなく誰でも罹る可能性があるといえます。
前庭神経炎の症状
じっとしていてもめまいや吐き気が治まらず数日間にも渡って続くこともあります。難聴や耳鳴りといった症状もありませんが、非常に強いめまいが起きることで知られています。約半数近くの方は、半年以上経ってもふらつきの症状が残っている場合もあるようです。発症から数日経つと徐々に症状が治まってきますが、立ち上がりや歩行時のふらつきが残る場合が多く、日常の生活に不便が出てくるでしょう。しかし、脳には前庭代償という平衡感覚を調節する機能が備わっておりその機能のおかげで次第に症状も治まります。
前庭神経炎の治療と予防
前庭神経炎の治療
発症直後の急性期は安静と危険回避のために入院し治療する必要があります。めまいや吐き気を抑える鎮静剤や制吐剤を、神経の炎症を抑えるステロイド剤を投与します。急性期を過ぎてからは、適度な運動によって代謝を促すことによってめまいの症状を軽くしていくことが分かっています。医師の指示に従って無理のない範囲で体を動かしていきましょう。水分の経口摂取が強い症状のために難しい場合は、点滴を行うこともあります。症状を和らげるためには、規則正しい生活やふらつきの症状を良い状態に戻すための平衡訓練を行うと良いでしょう。
前庭神経炎の予防
前庭神経炎は突然発症しますので、症状が長引くと大きなストレスにもなりかねません。適度な運動とバランスの良い食事を摂るといった規則正しい生活と十分な睡眠を心掛けていきましょう。
うした耳鼻咽喉科クリニック 院長片桐 佳明
【経歴・資格・所属学会】
平成18年3月
東京医科大学医学部医学科卒業
平成18年4月
県立広島病院
平成25年7月
広島大学医学部附属病院
平成27年6月
JA尾道総合病院
平成30年4月
堀病院
平成30年10月
うした耳鼻咽喉科クリニック開院
※資格
医学博士
日本耳鼻咽喉科学会 専門医
身体障害者福祉法指定医師
日本めまい平衡医学会 めまい相談医
※所属学会
日本耳鼻咽喉科学会
日本めまい平衡医学会