鼻中隔湾曲症 ｜ 症状から調べる | ファミリードクター

鼻中隔湾曲症の原因

鼻中隔は鼻中隔軟骨が篩骨正中板と鋤骨に上下に挟まれるかたちで形成されています。

• 成長過程で鼻中隔が湾曲する
• 鼻の打撲や骨折等の外的要因により鼻中隔が湾曲する

鼻中隔湾曲症の主な原因は上記の2つです。特に、鼻中隔湾曲症の多くは、成長過程で骨と軟骨の成長スピードが違うことによっておこります。
成長の早い鼻中隔軟骨に対して篩骨正中板や鋤骨はゆっくり成長します。成長のゆっくりな他の骨に位置を合わせようとして鼻中隔軟骨が左右に曲がって形成されてしまうのが鼻中隔湾曲症の大半の原因です。

しかし、鼻中隔の湾曲は成人の90%以上にみられると言われており、鼻中隔の湾曲があるからといって必ずしも鼻中隔湾曲症と診断されるわけではありません。鼻中隔湾曲症の診断に大切なのは鼻詰まり等の自覚症状があるかどうかです。稀に、慣れてしまって鼻詰まりを自覚していないケースもありますが、後述する症状がなければ問題ありません。

鼻中隔湾曲症の症状

鼻中隔湾曲症の典型的症状は鼻詰まりです。鼻中隔が湾曲することで、空気の通り道を狭くしてしまうことが原因です。風邪やアレルギーではない、慢性的な鼻詰まりの症状がみられます。また、慢性的な鼻詰まりに伴う症状がみられる場合もあります。

• 口呼吸
• いびき
• 熟睡できない
• 頭痛
• 嗅覚障害
• 鼻出血(鼻血)
• 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)

上記のような症状がみられる場合は医療機関を受診しましょう。
手術を検討する際には、CTで湾曲の位置や程度を詳細に検査をする必要がありますが、気になる症状の原因が鼻中隔湾曲症か別の要因があるかを知るだけであれば、外からの観察や内視鏡検査等、視診で比較的容易に診断ができます。

鼻中隔湾曲症の予防と治療

鼻中隔湾曲症の主な原因は思春期の成長に起因するものであり、予防法はありません。しかし外的要因によっても起こりうることから、鼻の打撲や骨折等、鼻に過度の負担が掛からないよう気をつけることが大切です。

治療法は大きく「対処療法」と「根本的治療」に二分されます。
対処療法では、症状に合わせて抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬、ステロイドの点鼻薬等を使う方法があります。点鼻薬は一時的に鼻詰まりを解消するのに効果的ですが、頻繁に使用すると症状を悪化させてしまう種類もあるため注意が必要です。また、抗炎症薬や抗生物質、アレルギー性鼻炎に効果的な内服薬を併用することもあります。

根本的治療は手術が基本になります。鼻の入り口から内視鏡を入れ、外から見えない部分を切開します。

• 鼻中隔矯正手術
• 粘膜下下鼻甲介骨切除術

上記が一般的に鼻中隔湾曲症で行われる手術です。

最も基本的な鼻中隔湾曲症の手術は鼻中隔矯正手術で、鼻中隔の湾曲した部分から骨を切除し、鼻の通りを真っ直ぐにします。

粘膜下下鼻甲介骨切除術は、鼻の粘膜に炎症を起こしている場合に、鼻中隔矯正手術と組み合わせて行われることの多い手術です。鼻中隔外側の下鼻甲介と呼ばれる突起が鼻詰まりを助長している場合には、下鼻甲介を切除することで鼻の通りを良くします。

基本的には全身麻酔で行う手術ですが、日帰りと局所麻酔を選択できる医療機関もあります。
ご自身の都合に合わせて事前に調べておきましょう。

注意したいポイントとして、鼻中隔湾曲症の手術は基本的に成長期を過ぎた19歳以上にしか行えないことが挙げられます。これは、鼻中隔の成長過程で手術を行うとその後の成長により鼻が変形する等のリスクがあるからです。
また、手術には鼻中隔穿孔や鞍鼻のリスクが伴います。手術を行う際には、ご自身が納得して、信頼できる医師を選ぶことが大切です。