破傷風 | 症状から調べる | ファミリードクター

破傷風

破傷風は破傷風菌(Clostridium tetani)が産生する毒素によって起こる感染症です。破傷風菌は土などの環境中に存在する細菌で、土などで汚れた傷から体内に入り込み増殖し、毒素を産生します。この毒素が筋肉のけいれんや呼吸障害などの症状を引き起こします。世界で年間100万人が発症し、そのうち30~50万人が死亡しています。日本では毎年100例ほどの報告があります。

原因

破傷風菌は酸素があると増えることができない嫌気性菌の仲間ですが、芽胞という固い殻に包まれた状態で、世界中の土などの環境に存在します。土などで汚れた傷から破傷風菌の芽胞が体内に入り込み、傷の中の酸素のないところ(嫌気状態)で菌が増え、毒素(テタノスパスミン)を産生します。この毒素が全身に広がり神経の過活動状態を引き起こし、筋肉のけいれんやこわばりの原因となります。人から人への感染はありません。

症状

3日~3週間(通常1週間程度)の潜伏期間を経て、徐々に筋肉のけいれんなどが見られるようになります。
病期は第1期から第4期に分けられ、通常4~6週間続きます。

  • 第1期
    開口障害という口が開きにくいという症状が現れます。イライラ、発汗、頻脈などが見られることもあります。
  • 第2期
    開口障害が悪化し、顔の筋肉が常にけいれんしている状態になります。
  • 第3期
    けいれんが顔だけでなく全身性に見られるようになります。強いけいれんが発作的に起き、頭部から背中まで弓なりにそりかえる症状を認めることもあります。
  • 第4期
    これまでに見られた症状が徐々に軽快していきます。

検査・診断

特異的な検査はなく傷口からの細菌培養も困難なことが多いため、経過や特徴的な症状からの臨床診断となります。

治療

早期の治療開始が必要なため、疑った時点で速やかに抗破傷風ヒト免疫グロブリン投与を行います。重症度にもよりますが、多くの場合で人工呼吸器による呼吸管理が必要となります。その他、ペニシリンやメトロニダゾールなどの抗菌薬の投与、創傷部の適切な処置、けいれん発作や不整脈などに対する全身管理が行われます。いずれにしても集中治療管理ができる施設での対応が必要です。

予防

破傷風の一番の予防はワクチン(破傷風トキソイド)接種です。ワクチン接種を正しく受けることで、ほとんどすべての人が抗体を獲得できます。ただし、ワクチンの効果は時間とともに薄れてきますので、10年毎の追加接種が推奨されます。
日本では1968年以前に生まれた世代では、定期接種に破傷風トキソイドが含まれていなかったので、未接種の方はぜひ一度かかりつけ医にご相談ください。

この記事の監修

のだ内科ファミリークリニック 院長野田 昌昭

2018年3月に西区井口明神で「のだ内科ファミリークリニック」を開院させていただきました院長の野田昌昭と申します。
広島大学医学部を卒業後、内科・血液内科を中心に長年数多くの診療に携わってきた経験を生かし、お子さまからご年配の方までご家族で気軽に訪れて、何でも相談できる明るいクリニックを目指したいと考えております。地域のみなさまの健康をサポートする、頼れる「かかりつけ医」となれるよう努力研鑽してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【経歴・資格・所属学会】

【経歴】
昭和58年 広島大学附属高校卒業
平成元年 広島大学医学部卒業
平成8年 広島大学原医研血液内科大学院修了
平成8年 国立大竹病院 内科医師
平成10年 広島大学原医研血液内科 助手
平成10年 米国ウィスコンシン州Blood Research Institute留学
平成12年 国立大竹病院 内科医師
平成15年 社会保険広島市民病院 健康管理センター副部長
平成17年 広島市立広島市民病院 内科部長
平成25年 広島市立広島市民病院 血液内科主任部長
平成29年 草津病院 内科医師
平成30年3月 のだ内科ファミリークリニック開院

【資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本血液学会専門医・指導医
日本感染症学会専門医
日本内科学会中国支部評議員
日本血液学会中国四国支部評議員
日本医師会認定産業医
身体障害者福祉法指定医「免疫機能障害」
広島県もの忘れ・認知症相談医(オレンジドクター)
広島県がんよろず相談医

【所属学会】
日本内科学会
日本血液学会
日本感染症学会

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