ぶどう膜炎
ぶどう膜とは、眼の中にある虹彩と毛様体、脈絡膜という三つの総称です。
- 虹彩
カメラの絞りに該当し、周囲の明るさに合わせて瞳孔の大きさを調節します。 - 毛様体
水晶体(レンズ)の厚さを変えてピントを合わせたり、眼球内に栄養を与えたりします。 - 脈絡膜
血管が豊富で、目の網膜に酸素や栄養を与えます。
これらのどれかの組織に炎症が起きた状態をぶどう膜炎と呼びます。ぶどう膜だけではなく、脈絡膜に隣接する網膜や、眼の外側の壁となっている強膜に生じる炎症も含みます。
ぶどう膜炎は発症数の少ない病気です。そのため認知度が低く、病院で初めてぶどう膜炎という言葉を聞いた方も多いようです。
原因
感染性が約15%、非感染性が約45%、原因不明のものが40%程度みられます。非感染性のものでは全身疾患にともなうものがあります。代表的な疾患として以下の病気があります。
ベーチェット病
自己免疫性の血管炎のために、口腔内や陰部、ぶどう膜に炎症や潰瘍を起こす病気です。多くは20-40歳代に発症します。
原田病
メラニン形成細胞に対する自己免疫疾患で目の症状だけでなく風邪のような症状やめまいや耳鳴り、脱毛や白髪の増加を起こします。
サルコイドーシス
目や心臓、腎臓など全身のさまざまな部位に炎症が生じ、肉芽腫ができる病気です。
他にも、膠原病や関節炎、皮膚疾患、糖尿病などが原因としてあげられます。
症状
ぶどう膜炎は炎症の部位や程度によって様々な症状がでます。主な症状は、目の痛みと視力の低下ですが他にも目が充血したり、まぶしく感じたり、かすみがあるように感じたり、光を見ると痛みを感じることもあります。
脈絡膜に炎症がある場合は飛蚊症と言って蚊のような黒いものが目に見えることもあります。
ひどくなると、白内障や緑内障、硝子体混濁、網膜前膜、嚢胞様黄斑浮腫等の合併症が起こるケースもあります。
ぶどう膜炎の診断は眼科の診察によって下されますが、原因を明らかにする為には様々な検査が必要です。全身疾患を伴う場合は他の診療科と連携して検査を行う必要があります。
治療
感染性のぶどう膜炎の場合は感受性のある抗ウイルス薬、抗菌薬、抗真菌薬などの投与を行います。
非感染性のぶどう膜炎の場合はステロイドの点眼薬を投与します。点眼薬でも症状が改善されない場合には、ステロイドの内服薬や注射を使用します。全身疾患が原因の場合は、内科的治療も必要になります。
ぶどう膜炎は完治が難しい病気です。そのため、治療が一度終わっても再発に気を付け、定期的に通院することが大切です。
やまだ眼科 院長山田 貴之
【経歴・資格・所属学会】
平成10年3月 広島大学医学部 卒業
平成10年4月 広島大学病院 放射線科
平成11年4月 中国労災病院 放射線科
平成12年6月 マツダ病院 放射線科
平成13年6月 日本健康倶楽部
平成15年4月 広島大学病院 眼科
平成16年1月 中国労災病院 眼科
平成17年11月 広島赤十字・原爆病院 眼科
平成20年4月 聖隷浜松病院 眼形成眼窩外科
平成22年4月 広島大学病院 眼科
平成25年6月 やまだ眼科 開院
[資格]
日本眼科学会専門医
日本医師会認定産業医
[所属学会]
日本眼科学会
日本眼科手術学会
日本眼腫瘍学会
日本涙道・涙液学会