髄膜炎

頭蓋骨と脳の間には髄膜という膜があり、脳の周りを覆って保護する役割を持っていますが、この髄膜に炎症が生じる病気です。細菌やウイルスに感染することで発症することが多く、重症の場合には緊急の処置が必要です。

髄膜炎の原因

髄膜炎は、細菌やウイルスに感染することで発症することが殆どです。体の他の部位で感染した細菌が血液を介して髄液内に入り込むことが原因と考えられています。髄膜炎の病原体は、細菌であれば肺炎球菌が多く、その他に髄膜炎菌、B群溶連菌、大腸菌等があります。

一方でウイルス感染の場合は、エンテロウイルス、ムンプスウイルス、単純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス等の感染が原因となることがあります。細菌感染に比べて重症化のリスクは低く、自然軽快するケースも少なくありません。

また、細菌やウイルス感染以外では、結核や真菌等により発症することもあります。

髄膜炎の症状

主な症状は、発熱や頭痛、吐き気や嘔吐、項部硬直(首が硬くなる)、全身倦怠感、食欲低下等です。また、けいれん、意識障害、手足の麻痺等の症状が見られることもあります。

症状の進行速度は様々で、数時間で重症化する方もいれば、数週間かけて徐々に進行する方もいます。また乳幼児では高熱や嘔吐などの症状は現れるものの、典型的な症状が見られない場合もあり、活気がなくなったり哺乳量が減少するといった変化のみ見られることもあります。

髄膜炎の治療と予防

髄膜炎の治療

細菌やウイルスの感染が原因で発症している場合には、血液検査、髄液検査、画像検査等により病原体を特定し、病原体に対して効果の期待できる薬剤を使用した治療が行われます。例えば、細菌性であれば抗生物質を使用し、ウイルスや真菌に対しては抗ウイルス薬や抗真菌薬をそれぞれ使用します。尚、髄膜炎は中枢神経系に進行していることも少なくないため、的確な薬物の治療が求められます。

一方で、自己免疫の関与が疑われる場合には、ステロイドや免疫抑制剤等の使用が検討されます。

髄膜炎の予防

髄膜炎は、細菌やウイルスに感染することで発症することが多いため、感染予防をすることが重要です。

肺炎球菌、髄膜炎菌等はワクチンもあるため、ワクチンを接種して感染リスクを下げることが有効です。ただし、ワクチンを接種したからといって、必ずしも感染しないという訳ではありません。手洗い、うがいを徹底したり、規則正しい生活を心がけて免疫力を下げないようにすることが大切です。ストレスは細菌やウイルスを活性化させることもあるため、十分な休養をと取り、ストレスを溜めすぎないようにすることも、髄膜炎の予防につながります。

髄膜炎が疑われる場合には、急速に重症化する危険もあり、早期に治療を開始する必要があるため、できるだけ早く医療機関を受診するようにして下さい。

この記事の監修

ながお脳神経外科クリニック 院長長尾 光史

超高齢化社会を迎えつつある日本において、これからの医療は予防医学がますます重要となってくる中で、脳卒中は3大死因のひとつでもあり、また寝たきりになる原因疾患の第1位です。その再発予防はさることながら、いかに発症を予防していくかが最重要であると考えています。
そこで、高血圧症、高脂血症、糖尿病などのいわゆる生活習慣病を背景とした動脈硬化の予防管理も含め、既存のクリニックにはないMRI機器を導入することにより、早期発見・早期治療に努め脳卒中の予防を中心に地域の皆様の健康維持に微力ながら貢献してまいりたいと思っております。不安を持っておられる方が気楽に受診できる環境を整え、迅速に検査を行い当日結果説明ができる体制をとっておりますので、どうぞお気軽に受診、ご相談ください。

【経歴・資格・所属学会】

略 歴
平成7年5月 大阪医科大学附属病院 脳神経外科教室 入局

[主な勤務病院]
畷生会脳神経外科病院
翠清会梶川病院
弘田脳神経外科病院
大阪府三島救命救急センター
児玉病院
大阪医科大学附属病院 麻酔科
みどりヶ丘病院
新生病院 部長
荒木脳神経外科病院 副院長
平成22年12月 ながお脳神経外科クリニック 開院

免許・資格
平成7年5月 医師免許取得 平成13年7月 医学博士号取得 平成13年8月 日本脳神経外科学会専門医取得

掲載情報について

本サービスは情報提供サービスであり、本サービスにおける医師・医療従事者等による情報の提供は診療行為ではありません。
診療を必要とする方は、必ず医療機関や医師にご相談の上、専門的な診断を受けるようにしてください。
本サービスで提供する情報の正確性について適正であることに努めますが、内容を完全に保証するものではありません。
※掲載情報には自由診療の内容が含まれている場合がございます。費用等については、直接医療機関にお問い合わせください。

トップ