レックリングハウゼン病
レックリングハウゼン病は、皮膚や骨、眼、神経系等に様々な病変を引き起こす常染色体優性の遺伝性疾患です。神経や皮膚にしみが現れ、神経に痛みや腫瘍が生じることもあります。
遺伝性疾患とされていますが、家族にレックリングハウゼン病の発症者が居ないにも関わらず突然変異により発症している患者は、全体の半数以上存在します。
レックリングハウゼン病の原因
レックリングハウゼン病は「神経線維腫症I型」とも呼ばれています。ヒトの細胞にある染色体の17番に位置する染色体に異常が生じることが原因となり、体に様々な影響が現れます。
この遺伝子は、ニューロフィブロミンと呼ばれるタンパク質を作り出す遺伝子です。ニューロフィブロミンには細胞が増殖することや細胞死を抑える役割があります。そのため、この遺伝子に異常が発生することで、腫瘍の発生や増殖を抑制する機能が低下し、体内に様々な症状を引き起こすと考えられています。
レックリングハウゼン病の症状
レックリングハウゼン病は、皮膚の色素斑(しみ)の発生や神経線維腫といった主な症状が現れます。
皮膚に現れる色素斑は、ミルクコーヒーのような色に似ていることからカフェオレ斑と呼ばれており、多くの場合で新生児の時から現れます。形状は長円形で、大小不同の色素斑が多発します。
雀卵斑(そばかす)様色素斑と呼ばれる、細かな色素斑が足の付け根や脇に集簇しやすいです。
神経線維腫は、児童期・思春期辺りから症状が少しずつ現れます。全身に常色から淡褐色のやわらかい腫瘤が見られるようになり、進行性に増加、増大します。できる数には個人差があります。また、大きく弁状あるいは懸垂状に垂れ下がるものを「びまん性神経線維腫」と呼びます。
その他にも、目に虹彩小結節(黒目に小さなぶつぶつができる)、脊椎の変形、成人になってから脊髄や脳といった部位に腫瘍ができることあります。
レックリングハウゼン病の予防と治療
レックリングハウゼン病の治療法は見つかっておらず、根本的な治療法はありません。そのため、発生している症状に対して行う対症療法が主な治療法となります。
また、発症を抑える治療もありません。体に現れる症状に応じた治療を行う為、皮膚症状なら皮膚科、骨の病変なら整形外科等、個人に合わせた医療機関で治療を受けて下さい。
整容的見地から皮膚の色素斑に対してレーザー治療、皮膚線維種に対して外科的切除等を受けることも可能です。ただし、再発の可能性はあります。
古江駅前すみれ皮ふ科 院長東儀 那津子
【経歴・資格・所属学会】
平成18年
北里大学医学部 卒業
平成18年
北里大学病院 初期研修医
平成20年
北里大学病院 皮膚科入局
平成23年
北里大学病院 助教
令和2年
北里大学病院 診療講師
北里大学病院のほか、大和市立病院、昭和大学病院藤が丘病院形成外科、
座間総合病院、武蔵村山病院、神奈川県内の皮膚科・美容皮膚科で勤務
【所属学会】
日本皮膚科学会
皮膚悪性腫瘍学会
日本美容皮膚科学会
日本アレルギー学会
【資格】
医学博士
日本皮膚科学会専門医・指導医
厚生労働省臨床研修指導医
ボトックスビスタ®︎認定医