紫斑
紫斑とは、皮内、皮下、粘膜下に出血した状態です。鮮紅色→暗赤色→紫→黄色→退色と変化します。
①血液、②血管壁・血管支持組織、③血管炎など様々な要因でなります。
それぞれの要因に対して①特発性血小板減少性紫斑、②老人性紫斑、ステロイド性紫斑、③IgA血管炎などの疾患があります。原因が明らかになっていないものには、単純性紫斑、慢性色素性紫斑があります。
紫斑の原因
紫斑を引き起こす原因は、①血液、②血管壁・血管支持組織、③血管炎など様々です。特発性血小板減少性紫斑は自分の血小板に対する抗体が産生され、血小板の減少によって生じます。(①)老人性紫斑、ステロイド性紫斑は加齢やステロイド薬の長期投与による血管を支持する組織の脆弱化が原因です。(②)IgA血管炎は上気道感染後に発症することが多く、これらの抗原が体内のIgA抗体と結合し、血管壁に沈着することで血管壁が障害されて生じます。(③)
紫斑の症状
特発性血小板減少性紫斑は点状の出血や斑状の出血が主に皮膚に生じ、口腔粘膜、鼻粘膜、歯肉などの粘膜出血、血尿、下血も認めます。
老人性紫斑は高齢者の主に手背、腕など委縮した皮膚にごく軽微な外傷で斑状の出血が生じます。
ステロイド性紫斑はステロイド長期投与(内服・外用)中の人の上肢や前胸部に点状の出血と関節部に斑状の出血が生じます。老人性紫斑とステロイド性紫斑は区別し難いです。
IgA血管炎は頭痛、咽頭痛など感冒様症状が先行し、両下腿に1㎝以内のわずかに隆起した紫斑が多発します。関節痛や血尿、腹痛・下血を伴うことがあります。
紫斑の治療と予防
紫斑の治療法
疾患によって治療法はそれぞれで異なります。
特発性血小板減少性紫斑は薬物療法や摘出手術が行われます。薬物療法では、ステロイド薬の内服が第一選択です。重症例では血液製剤であるガンマグロブリンや脾臓の摘出を行います。また、重症化し命に関わる状態にある場合には、血小板の成分を補うために輸血を行うこともあります。
老人性紫斑やステロイド性紫斑は自然に消失します。
IgA血管炎は安静にしていれば回復することが多くあります。しかし、重症例では入院が必要となり、ステロイドの内服が検討されます。
紫斑の予防
確実な予防法がない疾患が多く、老人性紫斑やステロイド性紫斑は軽微な皮膚への刺激で生じるため、刺激を避けることが予防につながります。
IgA血管炎は上気道感染が誘因となることがあるため、細菌やウイルスに感染しないように免疫力を下げないことが大切です。
紫斑は重症化すると命に関わることもありますので、特徴的なアザのような症状を見つけた場合は、早めに病院を受診し、適切な処置を受けて重症化を防ぎましょう。
古江駅前すみれ皮ふ科 院長東儀 那津子
【経歴・資格・所属学会】
平成18年
北里大学医学部 卒業
平成18年
北里大学病院 初期研修医
平成20年
北里大学病院 皮膚科入局
平成23年
北里大学病院 助教
令和2年
北里大学病院 診療講師
北里大学病院のほか、大和市立病院、昭和大学病院藤が丘病院形成外科、
座間総合病院、武蔵村山病院、神奈川県内の皮膚科・美容皮膚科で勤務
【所属学会】
日本皮膚科学会
皮膚悪性腫瘍学会
日本美容皮膚科学会
日本アレルギー学会
【資格】
医学博士
日本皮膚科学会専門医・指導医
厚生労働省臨床研修指導医
ボトックスビスタ®︎認定医