発疹チフス
発疹チフスは「発疹チフスリッチケア」という細菌に感染することで発症する感染症です。発疹チフスリッチケアに感染しているコロモジラミに吸血されて感染することで発症します。
コロモジラミは主に、衛生環境が著しく悪いところで発生します。日本では戦後に発疹チフスが流行しましたが、衛生環境の向上に伴い1957年の発生を最後に確認されていません。世界では、寒冷な山岳地帯、発展途上国等で多く確認されています。
発疹チフスの原因
発疹チフスの病原体である発疹チフスリッチケアはリケッチアと呼ばれる細菌の一種です。リケッチアに属する細菌はコロモジラミに寄生し、コロモジラミに吸血され感染することで発症します。発疹チフスリッチケアは、「リケッチア」という細菌の一種です。
発疹チフスを発症している人がコロモジラミに刺されると、発疹チフスリッチケアがコロモジラミに寄生します。この、発疹チフスリッチケアが寄生したコロモジラミが別の人を刺すことで、刺されたヒトが発疹チフスを発症します。
また、コロモジラミの糞便にも発疹チフスリッチケアが存在する為、粉塵内に混じっている病原体を吸い込むことで感染することもあります。
発疹チフスの症状
発疹チフスには、感染後6〜15日間の潜伏期間があり、潜伏期間を経て症状が表れます。
初期症状は、39度を越える突然の発熱です。
発熱に伴い、頭痛や悪寒、筋肉痛、吐き気等が生じることも多くあります。発熱から数日が経過すると、発疹が全身に表れます。発疹は赤みから始まり、次第に出血斑に変化することが多くあります。発疹チフスで出現する発疹は、掌と足の裏には見られないことが特徴です。
発熱から約2週間程度で解熱し、発疹も治癒していきます。
発疹チフスの治療
発疹チフスの治療は、抗菌剤での薬物療法です。診断が確定していなくても、発疹チフスが疑われる時点で抗菌剤の投与を開始します。主に、使用する抗菌剤はドキシサイクリンです。1日2回の投与を7日間以上継続します。
ドキシサイクリンで改善が見られなかった場合には、クロラムフェニコールと言う抗菌剤を1日4回、7日間にわたり投与します。基本は経口ですが、点滴で投与する場合もあります。ただし、クロラムフェニコールは、使用を禁止している国もあります。
発疹チフスの予防
発疹チフスの感染を予防する為には、シラミの発生を防ぐことが大切です。衣類やタオルを清潔に保ち、こまめに洗濯しましょう。
万が一シラミに感染した場合には、マラチオンまたはリンデン等で散布し駆除する必要があります。
古江駅前すみれ皮ふ科 院長東儀 那津子
【経歴・資格・所属学会】
平成18年
北里大学医学部 卒業
平成18年
北里大学病院 初期研修医
平成20年
北里大学病院 皮膚科入局
平成23年
北里大学病院 助教
令和2年
北里大学病院 診療講師
北里大学病院のほか、大和市立病院、昭和大学病院藤が丘病院形成外科、
座間総合病院、武蔵村山病院、神奈川県内の皮膚科・美容皮膚科で勤務
【所属学会】
日本皮膚科学会
皮膚悪性腫瘍学会
日本美容皮膚科学会
日本アレルギー学会
【資格】
医学博士
日本皮膚科学会専門医・指導医
厚生労働省臨床研修指導医
ボトックスビスタ®︎認定医