膵炎

膵臓は胃の後ろ側(背中より)にあり、食べ物の消化に関わったり、血糖値の調整を行なっている臓器です。膵炎とは、何らかの原因により膵臓がダメージを受け炎症がおき、膵臓の機能が低下する病気です。

膵炎には、膵臓の酵素が活性化したことにより膵臓の組織にダメージを受けることで発症する「急性膵炎」と、急性膵炎を繰り返した場合や、気が付かないうちに徐々に進行していく「慢性膵炎」の2種類があります。

どちらも男性の発症率が高い病気ですが、症状や経過は個人差があります。

膵炎の原因

前述の通り膵炎は急性膵炎と慢性膵炎の2種類に分けられますが、それぞれで原因が異なります。

急性膵炎の原因

急性膵炎はアルコールの過剰摂取により発症することが多く、次いで胆石が胆管に詰まることで発症するケースが多くこの2つが2大原因と言われています。また、内視鏡検査や手術が原因となる医原性、腹部外傷、膵臓や胆道の奇形、悪性腫瘍が原因となることもあります。しかし、約20%の原因不明です。

慢性膵炎の原因

慢性膵炎は急性膵炎同様、アルコールの過剰摂取が原因となることが多く、全体の約70%を占めています。他の原因も急性膵炎と共通していますが、約20%は原因不明です。

膵炎の症状

急性膵炎の初期症状は吐き気や嘔吐、発熱、みぞおちから背中にかけての強い痛みが現れます。重症化すると頻脈や血圧の低下、呼吸を引き起こすこともあります。重症化したにも関わらず放置しておくと、命を落とす危険があります。

慢性膵炎の症状は時間の経過と共に変化します。初期段階ではみぞおちから背中にかけて痛みを感じます。何年も経過すると消化不良による脂肪便や下痢、体重減少繋がりが見られる他、糖尿病を併発することもあります。

膵炎の治療と予防

膵炎の治療

急性膵炎の治療

急性膵炎は軽症であれば脱水予防の為の点滴、膵臓の組織を保護する為にたんぱく分解酵素阻害薬を使用する治療が、入院して行われます。

一方で重症化している場合には、呼吸状態や血圧低下に対する全身管理が必要な集中治療が行われます。また、胆石が詰まっていることで膵炎を発症している場合には、緊急で内視鏡手術が行われることもあります。

急性期をすぎた後に仮性囊胞(液体が入った袋状の貯留物)が発症したり、膵臓や膵臓周囲の組織が壊死し、感染が生じることがあります。またひどい炎症による出血の危険もあります。そういった場合、重症膵炎は急性期をすぎても治療が長引くことがあります。

慢性膵炎の治療

慢性膵炎は食事療法と薬物療法が基本です。食事療法では禁酒や低脂肪食繋がりで改善を図ります。薬物療法では、消化酵素薬を使用して症状を抑制したり、膵臓の組織を保護することを目的に、たんぱく分解酵素阻害薬の内服をします。

これらの治療で改善が見られない場合や、胆石が詰まっている場合には、手術や内視鏡での治療が検討されます。また近年では膵臓の移植手術なども行われる場合がありますので症状に応じ専門の先生と相談をしましょう。

膵炎の予防

膵炎の原因の多くは、アルコールの過剰摂取です。そのため、飲酒を控えることが膵炎の予防に繋がります。また、脂肪分の多い食べ物も食べ過ぎないように注意しましょう。脂肪分の多い食べ物は、膵臓に大きな負担を与え、膵炎を発症する恐れがあります。

中性脂肪が高いと膵炎になりやすいため、健康診断で中性脂肪が高く治療をすすめられている場合はかかりつけ医に相談してみましょう。

この記事の監修

小田内科 院長忌部 航

当院は昭和26年に創立して以来地元に根差した医院です。大きな病院に行くのは抵抗をお持ちでも「ちょっと小田で診てもらってきんさいや〜」と言われ受診される患者さん、診察時に「あんたのちっちゃい頃よぅ知っとるで」と私の記憶にないことまで話をされる患者さん、私が診察室に座っているとこの医院のもつ歴史、皆様からの期待を感じます。
これまでは東京で消化器内科を専門とし内視鏡検査やエコー検査を中心に診療を行ってきました。その経験を活かし経鼻内視鏡(胃カメラ)やエコーを用いて辛くない検査を行い、患者さんにあった医療の提供を目指しています。また高血圧や糖尿病といった生活習慣病、インフルエンザなどの感染症も適切に診療し皆様に信頼されるかかりつけ医でありたいと思います。

【経歴・資格・所属学会】

※経歴
平成19年3月
金沢大学医学部卒業
平成19年4月
三井記念病院
平成21年4月
国立国際医療研究センター
平成25年4月
福島県立医科大学 会津医療センター
平成27年4月
国立国際医療研究センター
平成31年1月
小田内科勤務
令和元年5月
小田内科院長

※学会・専門医
医学博士
日本内科学会:総合内科専門医
日本消化器病学会:消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会:日本消化器内視鏡学会専門医
日本膵臓学会

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