過多月経
過多月経とは、月経量が正常の月経量(持続3-7日、1周期当たり37-43ml)の基準を超えた状態ですが、他人とは比較し難く、自分で気が付きにくいと言う特徴があります。しかし、失血による鉄欠乏性貧血やそのための易疲労といった体調不良に繋がることもあるため注意が必要です。
過多月経の原因
過多月経の原因は、器質性と機能性に分けられます。
器質性とは、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮内膜ポリープといった子宮の病気によって経血の量が増えることです。
機能性は、器質的疾患が無く、性ホルモンの分泌異常による子宮内膜の異常や、内膜の局所的変化によって、経血の量が増えることです。一般的には10代の頃から経血の量が多くなります。機能性のなかに血小板機能異常症やフォン・ヴィルブランド病等の、血液疾患が原因となることも極くまれにあります。
過多月経の症状
過多月経の自覚症状として具体的には、数時間程度で(夜用)ナプキンを交換する必要があり、日中でも夜用ナプキンが欠かせないといった状態が挙げられるでしょう。経血に暗赤色の血塊が混じるという症状もあります。経血の量が多ければ、生理痛が重くなり易いとも言われています。
経血の量や生理痛の重さは人と比べられないため、異常を見逃しやすいので、少しでも違和感を覚えた場合は過多月経を疑い受診しましょう。
さらに、経血量が増加することで鉄欠乏性貧血に繋がることは珍しくありません。貧血を放置すると、ヘモグロビンが基準値を下回り、倦怠感が持続したり、爪の異常を来たしたり、倒れてしまうこともあります。貧血は放置すると心不全に進行する危険もあります。
重大な病気が隠れている可能性も否定できないため、立ちくらみやめまい、疲労を感じる場合は早めに受診しましょう。
過多月経の治療と予防
過多月経の治療
過多月経には、器質性か機能性が判断するまでは止血剤/ホルモン剤か造血剤の薬物療法で対応します。主に処方される薬は、トラネキサム酸やホルモン剤等です。
器質性、すなわち子宮筋腫等の疾患がある場合は、疾患の治療としてホルモン剤や手術療法が行われます。手術療法には本人の妊孕性温存に併せて、子宮鏡/内視鏡での手術から、子宮全摘出術まで段階があります。
妊孕性の温存は希望しないが子宮の摘出を避けたい場合は、経腟的にマイクロ波子宮内アブレーション(MEA療法)という最新の選択肢もあります。子宮を残したまま、子宮内膜の破壊によって症状を改善します。
過多月経の予防
過多月経を予防するためには、原因となる病気をいち早く発見する必要があります。特に異常がなくても、定期的に検診を受ける習慣を身に付けましょう。
貧血を予防するためには、日頃から鉄分を積極的に摂取することが大切です。レバー等の食材を食べたり、サプリで鉄分を補ったりして下さい。
ひらた女性クリニック 院長平田 英司
【経歴・資格・所属学会】
広島県呉市出身、幼少期は福山市育ち
広島市立袋町小学校, 広島大学附属中・高等学校 出身
長崎大学医学部医学科 卒業
広島大学産科婦人科学教室 入局
以後、JA尾道総合病院、呉共済病院、公立御調病院、四国がんセンター、
広島大学病院(診療講師、統括医長、医局長)、東広島医療センター(医長)に着任
【資格】
医師免許
学位(甲、広島大学大学院 医歯薬保健学研究科 外科系専攻)
日本産科婦人科学会専門医・指導医
婦人科腫瘍専門医
細胞診専門医
母体保護法指定医
【所属学会】
日本産科婦人科学会(専門医・指導医、役員(幹事)歴あり、代議員歴あり)
日本婦人科腫瘍学会(婦人科腫瘍専門医、代議員歴あり)
日本臨床細胞学会(細胞診専門医)
日本周産期・新生児学会
日本女性医学学会(旧更年期学会)
日本産科婦人科遺伝診療学会
日本エンドメトリオーシス学会(旧内膜症学会)
日本癌治療学会
日本癌学会