早発月経
早発月経とは、初めての月経が10歳未満で訪れることです。早発月経の根本的な原因は解明されていませんが、思春期早発症の一部もしくは、派生に属するものだと考えられています。なお思春期早発症とは、通常よりも2~3年ほど早い段階で思春期がはじまってしまう状態のことで、日本産科婦人科学会の定義では,乳房発育7歳未満,陰毛発生9歳未満,初経発来10歳未満でそれぞれの発現がみられた場合を早発思春期としています。一方、間脳下垂体機能異常に関する調査研究班(平成15年度)の手引きでは、乳房発育7歳6か月未満、陰毛発生8歳未満、初経発来10歳6か月未満としています。
早発月経の原因
早発月経は何らかの原因で、性ホルモンの早期分泌が起こることで発症します。卵巣機能が早期に促進されたことが原因となる真性早発月経と、卵巣または副腎に性ホルモン産生腫瘍ができて発症する偽(仮性)早発月経に分けられ、約70%は真性早発月経です。
真性早発月経は脳に障害を来たすことで発症することもあります。このケースでは脳腫瘍や脳炎、髄膜炎、頭部外傷等が主な原因となります。また、放射線治療後に発症するケースも確認されています。
一方、偽(仮性)早発月経は、卵巣腫瘍、副腎腫瘍、甲状腺機能異常等の病気から発症することが多いとされます。
早発月経の症状
早発月経は10歳未満で初経が訪れます。早発月経になると、思春期に見られる乳房発育、陰毛発生、初経発来等の二次性徴も、通常より早く訪れます。また、直接の原因は解明されていませんが、成人になると低身長であることが多いです。
早発月経の治療と予防
早発月経の治療
早発月経の治療は、真性早発月経か、偽(仮性)早発月経かにより異なります。
真性早発月経は、GnRH依存性が病態となっているため、ホルモン療法(GnRHアゴニスト)が行われます。ホルモン療法は、点鼻薬や皮下注射等でホルモン量を調整し、性ホルモンの低下や二次性徴の調整を目的とした治療です。また、ホルモン療法は骨成熟を遅らせるため、低身長を回避できる可能性があります。なお、ほとんどの場合骨年齢が12~13歳前後に達した時点で身長の伸びがとまるため、治療を終了します。
ホルモン分泌異常や腫瘍等が原因となっている偽(仮性)早発月経の場合には、原因となっている病気の治療も並行して行います。
早発月経の予防
早発月経は、思春期早発症または他の病気を発症することで生じます。そのためこれらの治療を受けることが、早期月経の予防に繋がります。体調不良が見られたら早めに病院で受診し、疾患が見つかった場合は早期に治療を開始して下さい。早期の治療は重症化及び早発月経の発症を予防に繋がります。
また、ホルモンはストレス等により異常を来たすことが多いため、ストレスを溜めすぎないようにすることも大切です。十分な休養や適度な運動をしてストレスを溜めないようにし、慎重に健康状態を観察して下さい。
ひらた女性クリニック 院長平田 英司
【経歴・資格・所属学会】
広島県呉市出身、幼少期は福山市育ち
広島市立袋町小学校, 広島大学附属中・高等学校 出身
長崎大学医学部医学科 卒業
広島大学産科婦人科学教室 入局
以後、JA尾道総合病院、呉共済病院、公立御調病院、四国がんセンター、
広島大学病院(診療講師、統括医長、医局長)、東広島医療センター(医長)に着任
【資格】
医師免許
学位(甲、広島大学大学院 医歯薬保健学研究科 外科系専攻)
日本産科婦人科学会専門医・指導医
婦人科腫瘍専門医
細胞診専門医
母体保護法指定医
【所属学会】
日本産科婦人科学会(専門医・指導医、役員(幹事)歴あり、代議員歴あり)
日本婦人科腫瘍学会(婦人科腫瘍専門医、代議員歴あり)
日本臨床細胞学会(細胞診専門医)
日本周産期・新生児学会
日本女性医学学会(旧更年期学会)
日本産科婦人科遺伝診療学会
日本エンドメトリオーシス学会(旧内膜症学会)
日本癌治療学会
日本癌学会