スポーツ障害
スポーツ障害とは、スポーツを行うことによって運動に関わる器官に外力が加わることで引き起こされる外傷の総称です。スポーツによって、一定部位に負荷が繰り返され、過度負担が積み重なることで慢性的な痛みに移行します。
スポーツ障害の種類は多岐にわたり、足、膝、肘、肩等の負担がかかりやすい箇所での発症が多く、ジャンプやダッシュ等の激しい動作の多いスポーツほどリスクは高くなります。
性別や年齢、スポーツ種目によってスポーツ障害には特徴があり、成長期の子どもや体力が低下している中高年が運動をし過ぎると発症しやすくなります。
運動時にだけ痛みが出る軽症の場合は、装具やギプスによる固定や理学療法、鎮痛剤等を使用した薬物療法等で改善します。しかし、運動時以外でも痛みや腫れが続く重症の場合は、手術が必要になることも少なくありません。
また、栄養状態の低下やスポーツを行うのに適さない靴の着用、睡眠不足の蓄積等も原因として挙げられます。
スポーツ障害の症状
慢性的にダメージが蓄積されることで発症するスポーツ障害は、運動時の痛みや関節の違和感等の軽い症状から現れ、少しずつ悪化し、最終的には安静時にも痛みを感じるようになります。
しかし、慢性的な外力によるものでも、腕等の骨に疲労が蓄積されて骨折を引き起こす疲労骨折は、急激な痛みが伴います。
代表的なスポーツ障害
オスグッド病
サッカーやバスケットボールをしている子どもに多く見られる症状で、骨の成長によって脛骨粗面に負担がかかり痛みが生じます。膝関節に痛みが生じた時は、完全に痛みがなくなるまで治療を続けることが大切です。
テニス肘
ボールの衝撃がラケットを通じて手首・肘に伝わり、そのダメージが蓄積され手首を使った動作で肘に痛みが生じます。テニスでの発症が多いため「テニス肘」と呼ばれていますが、テニスだけではなくバドミントンやゴルフ、剣道等でも発症することがあります。
ジャンパー膝
ジャンプ動作を繰り返すことによって膝に負荷がかかり、靭帯と靭帯が骨に付着する部分に炎症がおき痛みが生じます。バレーボールやバスケットボール等のジャンプ動作を繰り返す競技に多く見られます。
アキレス腱炎
ダッシュやジャンプを繰り返してアキレス腱に負荷を掛け続けると発症します。バレーやバスケットボール、陸上等のジャンプする動作を繰り返す競技に多く見られます。
野球肘
ボールを投げ過ぎることで生じる肘の傷害のことです。繰り返しの投球動作で肘へのダメージが蓄積され、肘の曲げ伸ばしが悪くなったり、急に動かせなくなることがあります。
シンスプリント
陸上やバスケ、テニス等ダッシュを繰り返すスポーツで多く発症し、蓄積されるダメージによって下腿の内側に痛みが生じます。運動量やメニューを制限して練習を続けながら改善を図ることも可能です。 症状が強く持続する場合には、疲労骨折の可能性があります。
スポーツ障害の治療と予防
スポーツ障害の治療
スポーツ障害の治療は様々ですが、基本的には安静にすることが大切です。
軽度の場合では、患部を安静にすることで症状は改善します。改善しない場合には、ギブス等による固定や鎮痛剤等を用いた薬物療法が行われます。
強い痛みが見られる場合や損傷がひどい場合、保存的療法では効果が得られなかった場合には手術を行うケースも少なくはありません。
スポーツ障害の予防
スポーツをする前には、しっかりとウォーミングアップやストレッチ等を行い、過剰なトレーニングを行わないことが重要です。
スポーツ後、身体に異変や違和感、痛みが生じた場合にはなるべく早く診察を受けましょう。また、スポーツに適さない靴の着用も発症の原因となるため、適切な靴を履くことでも予防しましょう。
いずた整形外科クリニック 院長泉田 泰典
【経歴・資格・所属学会】
○平成11年3月
島根医科大学医学部(現島根大学医学部)医学科 卒業
○平成14年4月
広島大学大学院医歯薬学総合研究科 展開医 科学専攻 病態制御医科学講座 入学
○平成17年4月
ペルージャ大学(イタリア)整形外科・外傷外科学 留学(臨床リサーチフェロー)
○平成18年3月
・広島大学大学院医歯薬学総合研究科 展開医 科学専攻 病態制御医科学講座 修了
・学位(医学博士)取得
【専門医認定等】
○日本整形外科学会認定 整形外科専門医
○日本専門医機構認定 整形外科専門医
○日本整形外科学会認定 スポーツ医
○日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医
○日本整形外科学会認定 リウマチ医
○日本人工関節学会 認定医
【所属学会】
○日本整形外科学会
○日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)
○日本人工関節学会
○日本骨粗鬆症学会 …等