骨折
骨折とは、外力により骨が完全または部分的に連続性を失った状態のことです。大きな外力だけではなく、軽微な外力でも骨折することがあります。骨折の発症部位や発症様式は、年齢や抱えている病気等により変わります。
特に高齢者が発症すると、完全に骨が回復できず、寝たきりとなることもあるため、骨折を予防することが大切です。
骨折の原因
骨折は骨に外力がかかることで発症することが殆どです。大きな外力が加わることで発症するだけではなく、加齢や骨粗鬆症により軽微な外力でも発症することがあります。
高齢者は、加齢に伴い骨密度が低下するため骨折することが多くなります。特に脊椎・大腿骨・橈骨・上腕骨で頻度が高く、これらは4大骨折と呼ばれています。高齢者の骨折の原因として多いのが、筋力とバランス感覚の低下による転倒です。後ろに転倒して尻もちをついた際に脊椎圧迫骨折を起こしたり、転んで手を付いた瞬間に橈骨遠位端骨折を起こしたりします。これらの骨折を負ってしまうと、他の骨に負担が増えて骨折連鎖を起こすことも少なくありません。
その他転倒や落下、交通事故により骨折を発症する事例は、非常に多いことから身近な外傷であると言えるでしょう。
骨折の症状
骨が折れた部位に激しい痛みが生じるほか、腫れや変形を伴うこともあります。出血していた際は、数日後に出血した箇所があざになることも多いです。また、骨折した部位によっては、近くに存在する神経が刺激を受け、手足の脱力や痺れ等を生じることもあるほか、骨盤骨折等により大出血を起こした場合には、低血圧や意識障害を引き起こすこともあります。
骨折の治療と予防
骨折の治療
骨折が疑われる場合には、安静・冷却・圧迫・挙上の4つの処置をします。なお、挙上とは骨折した部位を心臓よりも高い位置で維持することです。
病院では保存療法、手術、リハビリテーションをします。保存療法では、正しい骨の形状を保ちながら、骨折した部位をギブス等で固定して安静を保ち、骨が結合するまで経過観察をします。骨の変形が生じている場合には、皮膚の上から骨や関節を整復する徒手整復を行ってからギプスで固定します。
骨の損傷が激しい場合には、手術を検討しなければなりません。手術では、金属製のねじやプレート等を使用して骨折した箇所を結合させます。
さらに、必要に応じて治療後に理学療法士や作業療法士の指導の下、リハビリテーションが行われることもあります。
骨折の予防
骨折を予防するためには、骨を丈夫に保つことが大切です。牛乳等、骨を形成するカルシウムを積極的に摂取しましょう。また、カルシウムを効率よく骨に沈着させるビタミンKや、カルシウムを体に吸収するために重要な栄養素であるビタミンDも同時に摂取することで、より高い効果があります。ビタミンKは納豆や、小松菜・ほうれん草等の緑黄色野菜に、ビタミンDは干ししいたけ、きくらげ等のきのこ類、鮭や秋刀魚等の魚類に多く含まれています。
いずた整形外科クリニック 院長泉田 泰典
【経歴・資格・所属学会】
○平成11年3月
島根医科大学医学部(現島根大学医学部)医学科 卒業
○平成14年4月
広島大学大学院医歯薬学総合研究科 展開医 科学専攻 病態制御医科学講座 入学
○平成17年4月
ペルージャ大学(イタリア)整形外科・外傷外科学 留学(臨床リサーチフェロー)
○平成18年3月
・広島大学大学院医歯薬学総合研究科 展開医 科学専攻 病態制御医科学講座 修了
・学位(医学博士)取得
【専門医認定等】
○日本整形外科学会認定 整形外科専門医
○日本専門医機構認定 整形外科専門医
○日本整形外科学会認定 スポーツ医
○日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医
○日本整形外科学会認定 リウマチ医
○日本人工関節学会 認定医
【所属学会】
○日本整形外科学会
○日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)
○日本人工関節学会
○日本骨粗鬆症学会 …等