じん肺 | 症状から調べる | ファミリードクター

じん肺

じん肺とは、小さな土ぼこりや鉱物由来の粒子(粉じん)などを長年にわたり大量に吸い込むことで発症する肺が線維化した状態を指します。

じん肺の原因

鉱物や金属、研磨剤といった粉塵を吸入した場合、粒子が大きいものであれば鼻孔や気管支に留まり痰と一緒に排出されます。細かい粒子になると肺の奥まで達し、肺胞という場所まで入り込み付着していきます。この環境が長く続くことによって、肺の中では積み重なった粒子によって線維化が起こり弾力を失うことにより肺としての機能が著しく下がっていきます。

主に炭鉱や工事現場、建設業などでの作業により発症する病気であるので、“職業性肺疾患”の1つとしてされています。断熱材や防音材として用いられてきたアスベストもじん肺を引き起こす原因の1つであり、中皮腫や肺がんなどの甚大な健康被害をもたらします。

溶接工や炭焼きなど鉄や炭素が成分である粉塵ではじん肺が発生しにくく、線維化の程度も軽いと言われています。花崗岩を成分とする石英やシリカの粉塵を吸い込み続けるとじん肺となり易く、深刻な状態となる可能性が高くなります。

じん肺の症状

肺の線維化は、肺の粉じんに対応する防御反応であり粉塵を吸い始めてから症状に現れるまで数年以上掛かります。自覚症状は初期では感じることはありません。進行してからたんや咳が出始め、息切れや呼吸困難の他に倦怠感や体重減少の症状が出てくるでしょう。

また、気管支炎や肺がん、気胸といった合併症を発症するリスクも高まります。一度塵肺になった肺は、正常な状態に戻ることはありません。粉塵を吸い込むような環境から離れたとしても、病気は少しづつ数年から十数年かけて進行していきます。

じん肺の治療と予防

じん肺の治療

粉じんを吸い込む可能性がある職業の確認と胸部のX線やCT検査、呼吸状態や機能の確認検査を行い、確定します。肺の組織を一部採取し、吸い込んでいる物質を確認することもあります。

根治治療として他の治療方法は確立されていません。咳止めや去痰剤といった対処療法を中心にしていきます。

気管支拡張剤を使用し、肺の中の分泌物を排出し粘液溶解剤で気道の綺麗に清潔を保つ治療が主流です。他には呼吸器感染症に対して行われている治療や予防法に、呼吸不全の治療方法や呼吸に対するリハビリも有効であるとされています。少しでも患者様の呼吸し易い状態を作ります。

塵肺の予防

仕事で粉塵を扱う場合は粉塵を出来る限り吸い込まないように防塵マスクの着用や塵肺に対する正しい知識を持ち、定期的な検診を受けましょう。

法律で指定された会社では、防塵対策や定期的な検診が決められており厳密な管理がされています。労働災害として認定されれば労働者災害補償保険法によって、療法補償給付や休業補償給付が利用できます。

この記事の監修

はるた呼吸器クリニック 院長春田 吉則

このたび2018年12月、広島平和公園近隣である堺町におきまして新規開院させていただきました、はるた呼吸器クリニック院長の春田吉則と申します。
大学病院勤務時代には、喘息・アレルギー専門外来にて15年余り診療経験を積み、また主たる基礎・臨床研究におきましても喘息研究に専念してまいりました。また医薬連携活動として「アズマネット広島」の事務局として企画、運営させていただいており、広島市薬剤師会および広島大学病院薬剤部の薬剤師の方々と連携し、ぜんそく患者さんのための活動を10年余り携わってきました。
今後もここ広島におきましてアレルギー・呼吸器領域の専門クリニックとして、これまでの経験と連携を活かし、微力ながら地域の方々の健康のため貢献できるよう切磋琢磨して参りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。

【経歴・資格・所属学会】

※略歴
広島大学医学部卒業
中国労災病院・広島大学病院・広島アレルギー呼吸器クリニック八丁堀等で勤務

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