鼻アレルギー
鼻アレルギーとは、花粉やダニなどの特定のアレルゲンを異物とみなし、体内から排出させるためにくしゃみや鼻汁、鼻閉の3つの症状が出る病気のことです。
アレルギーとは、ある特定の物質に対して体の免疫機能が過剰に反応してしまう現象のことで、I〜IVの型に分かれています。このうち鼻アレルギーは、鼻粘膜のI型アレルギー疾患に分類されます。
鼻アレルギーの原因
鼻アレルギーは、アレルゲンに曝露されることで発症します。原因物質は多種多様です。
鼻アレルギーは、一年中症状がある「通年性アレルギー性鼻炎」と、一定の季節に限局して発症「季節性アレルギー性鼻炎」に分類されます。
通年性アレルギー性鼻炎の大半はダニが原因で発症します。ダニ以外ですと、ハウスダスト、動物の毛やフケなどが原因となり発症します。
一方の季節性アレルギー性鼻炎は、花粉が原因となることが多くあります。原因となる花粉は60種類以上確認されていますが、日本では70%の方がスギ花粉により発症しています。尚、花粉により発症する鼻アレルギーのことを「花粉症」と呼びます。
鼻アレルギーの症状
鼻アレルギーの主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりです。
また、頭痛、頭重感、食欲不振、耳・喉・目のかゆみなどが伴うことも多い他、倦怠感や意欲の低下が見られることもあります。特に、倦怠感や意欲の低下が酷いと、日常生活に支障を来たすこともあり、治療が必要な場合もあります。
鼻アレルギーの治療と予防
鼻アレルギーの治療
鼻アレルギーの治療は、薬物療法、手術、免疫療法です。
鼻アレルギーは、原因物質(アレルゲン)によって体内にヒスタミンなどのアレルギー物質が放出されることで発症します。そのため薬物療法は、ヒスタミンなどのアレルギー物質が起こす症状を抑えることを目的として行われます。
一般的に使用される薬物は、抗ヒスタミン薬と抗ロイコトリエン薬です。これらには、アレルギー反応を起こす刺激物質を抑える効果が期待できます。また、中等症以上では鼻粘膜の炎症を抑える、鼻噴霧用ステロイド剤も併用されます。
薬物療法で十分な効果が見られなかった場合は、手術を検討します。手術では、症状に応じて、レーザー焼灼術・下鼻甲介手術・後鼻神経切断術などが行われます。
また、抗原を少量ずつ体内に投与し、体をアレルゲンに慣らすことで症状を和らげる、免疫療法も治療の一つの選択肢です。免疫療法では、舌下投与または注射投与による長期間の治療が必要です。
鼻アレルギーの予防
鼻アレルギーを予防するためには、アレルゲンの回避が重要です。ダニが原因となる場合には、ダニの繁殖しやすいカーペットや畳はこまめに掃除したり、布団には防ダニカバーを装着しましょう。
花粉症を予防するためには、原因となる花粉の飛散情報に注意し、飛散が多い日は外出を控えることが有効です。外出がやむを得ない場合には、眼鏡やマスクを着用しましょう。
はるた呼吸器クリニック 院長春田 吉則
【経歴・資格・所属学会】
広島大学医学部卒業
中国労災病院・広島大学病院・広島アレルギー呼吸器クリニック八丁堀等で勤務