急性気管支炎
気管支がインフルエンザ等のウイルスや細菌に感染して炎症を起こした状態です。気管支炎には急性気管支炎と慢性気管支炎がありますが、発症から1か月以内に治る気管支炎を「急性気管支炎」と言います。
急性気管支炎の原因
急性気管支炎は、空気の通り道である気管支に炎症が起きた状態です。
気管支に炎症が起きる原因は感染症が多く、特にウイルスによる感染が大半を占めます。特にアデノウイルス・コロナウイルス・インフルエンザウイルス・RSウイルスの感染による発症が多く見られます。
ウイルスだけではなく細菌感染により発症することもあります。細菌感染の多くは肺炎球菌・インフルエンザ桿菌・マイコプラズマが原因となって引き起こされます。
また、感染症以外に大気汚染物質を吸引することで発症する場合があります。
例えば、浴室掃除の際に、換気をせずに防カビスプレー等揮発性の塩素剤を使用すると、気管支炎を発症することがあります。化学物質を使用する際には、ゴーグル・マスク・ゴム手袋を着用し換気しながら正しい用途で使用することが大切です。
急性気管支炎の症状
咳やたん、38.0℃前後の発熱が症状として多く見られます。
病原体によっては呼吸音がジヒューヒューと笛のような音になる喘鳴(ぜんめい)や息切れが出ることもあります。特に喘鳴は小児に多く見られます。喘鳴は気管支が狭くなっているサインです。喘鳴を放置すると重症化し、死に至る恐れがあり速やかな治療が必要です。
急性気管支炎の治療と予防
急性気管支炎の治療
急性気管支炎を引き起こしている原因により、治療法が異なります。
ウイルスが原因の急性気管支炎は、対症療法が一般的です。対症療法は、咳を抑える鎮咳薬の投与、たんが絡む場合には去痰薬の投与によって治療します。
一方で、細菌感染が原因の急性気管支炎には、抗生物質を使用する場合があります。ただし、原因となっている細菌により抗生物質の効果が異なる為、効果が見られない場合には対症療法を行います。喘鳴の症状が見られる場合には、気管支を広げる吸入気管支拡張薬を併用して気道を広げ、症状の緩和を図ります。
急性気管支炎の予防
急性気管支炎は風邪やインフルエンザから移行することが多い症状です。そのため日頃から規則正しい生活や栄養補給を心掛け、風邪やインフルエンザ予防をすることで、気管支炎の予防に繋がります。
また、低温低湿等も発病の誘因となることがある為、乾燥しないように加湿器等で周囲の湿度を高く保つことも有効です。
急性気管支炎は肺炎や慢性気管支炎に移行する恐れがあります。気管支炎を患ってしまった場合には、安静にすると共に、喫煙は控えて重症化しないように注意しましょう。
はるた呼吸器クリニック 院長春田 吉則
【経歴・資格・所属学会】
広島大学医学部卒業
中国労災病院・広島大学病院・広島アレルギー呼吸器クリニック八丁堀等で勤務