直腸炎
直腸炎とは、直腸に炎症が起きている状態のことです。直腸炎を発症する原因は多岐にわたるため、精密検査により原因を慎重に解明することが重要です。
直腸炎の原因
直腸炎の原因として多いのは、潰瘍性大腸炎やクローン病等の炎症性腸疾患によるものです。潰瘍性大腸炎やクローン病等の炎症性腸疾患を発症すると、直腸にも炎症が起きることがあります。
また、性感染症から直腸炎を起こすこともあります。性感染症の場合は、肛門を用いた性交渉等により、淋菌や単純ヘルペスウイルス等の病原体が、直腸に感染することで直腸炎を引き起こします。
その他、がんの治療で行われる放射線療法の合併症として直腸炎を発症する場合や、薬剤を原因として起こる偽膜性腸炎、ミルク等に対してのアレルギー反応等が原因となることもあります。
直腸炎の症状
直腸炎の主な症状は、下痢や血便です。また、排便時に痛みを感じたり、便が直腸にない場合でも常に便意を感じることもあります。発症の原因が他の病気の場合には、その病気の症状とともに直腸炎の症状が現れます。
直腸炎の治療と予防
直腸炎の治療
直腸炎は、炎症性腸疾患や性感染症、がん等の病気から発症することが殆どです。そのため原因となっている病気の治療が、直腸炎の治療となります。
性感染症が原因となっている場合には、原因となった病原体に応じて抗生物質や抗ウイルス薬を使用します。がんの放射線治療により引き起こされた直腸炎に対しては、炎症を抑えるための抗炎症薬や、排便をコントロールするための軟便剤、止痢薬等が用いられます。
炎症性腸疾患が原因となっている場合には、炎症を抑えるための薬物療法や手術をします。基本は薬物療法ですが、炎症がひどい場合にのみ病変部位を切除する手術が検討されます。
直腸炎の予防
直腸炎を予防するためには、原因となる病気を予防しなければなりません。
潰瘍性大腸炎やクローン病等の炎症性腸疾患の発症は、食べ物や腸内環境が関係していると考えられています。そのため栄養バランスの良い食生活を心がけることで、予防に繋がると考えられます。また、発症が疑われる場合には早めに病院を受診し、早期に治療を開始することで重症化を防ぐことも大切です。
性感染症を予防するためには、性行為時にはコンドームをつける、発症している時は性行為を避けてください。
また、ウイルスや細菌の感染を予防するために、規則正しい生活を送ることも予防に繋がります。ストレスを溜めないように、適度な運動や十分な休養を心がけ、免疫力を下げないようにしましょう。
仁愛内科医院 院長今川 宏樹
【経歴・資格・所属学会】
広島大学医学部医学科卒業
広島大学医学部附属病院・県立広島病院・中国労災病院・井野口病院・公立みつぎ総合病院・JA尾道総合病院・国立病院機構 呉医療センター・広島記念病院などで勤務