慢性便秘
慢性便秘とは、大腸や排便にかかわる機能が低下したことで、慢性的に便秘が続く状態のことです。慢性便秘は大きく分けて、「排便回数減少型」と「排便困難型」に分類されます。
便秘は加齢とともに発症率が高くなります。近年の高齢化や生活習慣病の広がりに伴い、日本の慢性便秘の患者数は急増しています。
慢性便秘の原因
便秘は、排便の機能が低下し、回数が減ったり困難になることで発症します。便秘は急性便秘と慢性便秘に分けられますが、急性便秘が慢性化すると慢性便秘に移行します。
慢性便秘のうち排便回数減少型は、代謝・内分泌疾患、神経・筋疾患、膠原病が原因となり発症することが多いです。また、食べる量が少なく不足していたり、薬の副作用で発症することもあります。特に高齢者が発症することが多いです。
一方の排便困難型は、便意型過敏性腸症候群から発症したり、直腸感覚が低下したり、直腸収縮力の低下したりすることにより発症します。
慢性便秘の症状
排便回数減少型は、うさぎのフンのようなコロコロとした便になったり、便秘と下痢を繰り返します。
排便困難型は、便意はあるものの硬くて出せない、出せてもコロコロした便が少量出るのみ、残便感がある等の症状が出ます。
便秘が慢性化しているのではなく、病気が原因となり発症している場合(器質性と言います)には、発熱や激しい腹痛、嘔吐、血便、タール状や粘液性の便等の症状が出ます。また、慢性便秘が重症化すると、腸閉塞症状や腸穿孔といった深刻な合併症を引き起こすこともあります。
便秘がひどい場合やこれらの症状が見られる場合には、早めに病院を受診し治療を受ける必要があります。
慢性便秘の治療と予防
慢性便秘の治療
症状や重症度により、保存的治療と外科治療のいずれかを行います。保存的治療では、生活習慣や食習慣の改善、適便等の理学的療法、薬物療法等を行います。
保存的治療で改善が見られない場合や、重症化している場合には外科治療も検討されます。また、他の病気も患っている場合には、慢性便秘の治療と並行して他の病気の治療も行います。
慢性便秘の予防
慢性便秘を予防するためには、排便習慣や生活習慣の見直しが大切です。
排便習慣では、便意を感じたら我慢せずにトイレに行く、水分や善玉菌、食物繊維を十分に摂り、便を硬くしないようにしましょう。
生活習慣では栄養バランスのとれた食事を心がけたり、ストレスを溜めないことが大切です。食事は納豆やヨーグルトに多く含まれる善玉菌や、バナナ等に多く含まれる食物繊維を積極的に摂取しましょう。また、ストレスを溜めないように十分な休養を取り、適度に運動をして下さい。
仁愛内科医院 院長今川 宏樹
【経歴・資格・所属学会】
広島大学医学部医学科卒業
広島大学医学部附属病院・県立広島病院・中国労災病院・井野口病院・公立みつぎ総合病院・JA尾道総合病院・国立病院機構 呉医療センター・広島記念病院などで勤務